トランプかバイデンか!?米大統領選挙が日本の中小企業に与える影響を徹底解説!

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他国の選挙とは思えないほど日本のメディアも賑わせた米大統領選ですが、現段階ではバイデン氏の勝利が報道されています。

これだけ日本でも報道される理由は、その影響が大きいから、また米大統領選はエンターテイメント性が高く、米国国内でも大きなコンテンツとなっているからでしょう。

日米に限らず政治家への投票は「人気票」のような政策や実績でなく、個人への好き嫌い、思い入れによって行われることもあります。

日本では小泉内閣が80%近い支持率まで上昇しましたし、当時宮崎県知事だった東国原氏は89%の支持率を記録しています。

個別の政策には必ず利害があり、トレードオフもあるはずなのにここまで支持率が高騰するのには、やはり「感情」の関与が否定できません。

今回はそういった感情や思い込みのような部分を排除して、米大統領選の結果が日本の中小企業にとってどういった影響をもたらすのかを考察していきます。

米大統領選の基本的な所、トランプ氏逆転の可能性から、各方面でのバイデン氏の政策の予測、日本のへの影響まで網羅的にご紹介しますので、是非最後までご覧いただければ幸いです。

 

米大統領選とは?

 

 

米大統領選とはその名の通り米国の大統領を選ぶ選挙です。

議院内閣制をとる日本では首相を選ぶのに国民が投票することはできませんが、アメリカの大統領選は(実質的に)国民が投票することで大統領を決めます。

ここで面白いのは国民全員に投票権があるわけでなく、「事前に登録した18歳以上の米国民」が有権者となります。

投票までにハードルが一つ設けられているところも、自動的に選挙の案内が送られてくる日本とは違うところです。

選挙だから、「たくさんの票を獲得した人」が大統領になりそうなものですが、これも違います。

選挙戦は州ごとに行われ、それぞれの州の人工に合わせて「選挙人」というものが設定されています。
その州で勝った候補者は、すべての選挙人を獲得ことができ、最終的に選挙人の投票によって大統領が決まります。

よく大統領選は直接選挙と言われますが、「実質的に」直接選挙なだけであって、制度的には選挙人を介して行う間接選挙となっています。

この制度上、「総合の得票数で上回っても負ける」ということが起こり得るわけです。というか、実際に前回のトランプ氏対クリントン氏の大統領選では、総得票数に置いては286万票もクリントン氏の方が多く得票しました。

日本人にとっては不思議な選挙制度ですが、前提の知識としてこの辺りは抑えておく必要があるでしょう。

 

トランプ氏が今から逆転する可能性?

 

 

さて、冒頭で「現段階ではバイデン氏の勝利」と書いたのには理由があります。

バイデン氏は勝利宣言をしたものの、トランプ氏が敗北宣言をしていないことから、ここから逆転する可能性が「ゼロではない。」と言われてきました。

以下の2点によるものです。

・トランプ氏が選挙の不正を訴えている
・選挙人の造反の可能性

各州の選挙で不正が行われていたと、トランプ氏は訴訟を提起しました。この結果により結果が覆る州が出てくれば、結果が変わる可能性があるというものです。

実際には具体的な証拠を示せず、敗訴が続き、すでにバイデン氏は当選に必要な270を上回る306人の選挙人を獲得したことが報じられています。

 

選挙人の造反について

 

当然それぞれの選挙人は州の選挙結果に従って、その州で勝った方の候補に投票するわけです。そんなことから、選挙人による投票は「セレモニー」とも呼ばれています。

ところが過去の選挙においても、この選挙人による造反が行われています。

前回の大統領選でもトランプ氏の獲得選挙人306名に対して、実際は304しか投票されておらず、クリントン氏にも232名に対して227人しか投票されませんでした。

そんなことが起こるなら、各州での選挙をした意味がわからなくなってしまうのですが、不思議なことにこの選挙人の造反は「合法」です。もちろん倫理的には悪いとされていますが、違法ではないので強制ができません。

こうしたことから、今回の獲得選挙人が270人ギリギリになった場合は数名の造反で当選がなくなる可能性もあり、トランプ氏逆転の可能性と言われてきたわけです。(両陣営270に届かない場合は連邦議会下院の投票で決めることになり、その場合はトランプ氏有利と言われていました。)

しかしながら、最終的にバイデン氏の獲得選挙人数は306となり、必要選挙人数の270を大きく超えたため、メディアは「バイデン氏の勝利」を報道したわけです。

ちなみにこの306人は前回の大統領選でのトランプ氏が獲得した選挙人数と一致しており、当時も「これだけ余裕があれば造反があっても大丈夫だろう」と言われていました。

ゼロではない可能性が残されているものの、本稿では米メディアの発表に従い、バイデン氏が次期米大統領になるという前提で話を進めていきます。

 

バイデン氏の政策と、日本への影響

 

 

それでは実際にバイデン氏が行う政策について、今までの言動から推測し、日本、とりわけ中小企業にどういった影響が及ぶのかを考察していきます。

 

新型コロナ対策

 

まず現在気になるのは米国のコロナ対策です。WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboardの11/7 4:33pm CETによると、米国の死者数は233,292人で世界最多。

人口あたりになおしても10万人当たり71人で、日本の約50倍です。

世界経済の復興に米国経済の復興は言うまでもなく重要で、注目を集めています。

マスクをせずにテレビや集会に出ていたトランプ氏に対し、バイデン氏は

・マスク義務化の実施
・接触追跡プログラムの導入
・ワクチン開発の支援

を訴えており、感染拡大防止に力を入れると見られています。

また、トランプ氏は「WHOからの脱退」を名言していましたが、バイデン氏は脱退の撤回をすると述べており、米国のコロナ対策は日本人としては馴染みのある方向に舵を切ると予想されています。

日本は順次国別に外国人の受け入れを開始していますが、訪日外国人の中で米国民は人数においても消費金額においても大きいため、米国の感染状況は日本経済にも非常に大きな影響を持ちます。

日本に比べると遥かにマスクに対する嫌悪感が強い米国でどこまで徹底できるか、どれだけの感染の抑え込みができるかに注目が集まります。

当然のことながら米国の新型コロナ対策に他国が口を出すことはできず、日本や世界経済にとっても「頑張ってもらうしかない」と言ったところが日本人ビジネスパーソンの率直な意見ではないでしょうか。

 

対中政策

 

米国と中国はここ数年「覇権争い」とでも言うべき争いを繰り広げてきました。

その分野は多岐に渡り、双方の関税の追加措置や、次世代通信網「5G」構築におけるファーウェイ製品の使用禁止、またファーウェイ製品にGoogle製ソフトウェアの使用制限等。

米中はGDPで世界第一位(米国)と二位(中国)、日本にとっての貿易輸出入総額でも一位(中国)と二位(米国)。米中貿易戦争の影響をモロに受ける格好となります。

すでにファーウェイの最新のスマートフォンやタブレットからは「Google Play(iPhoneにおけるApp store)」が使えない状態になっており、実質的に日本人が日本国内で選ぶ端末にはなりえない状況になっています。

このファーウェイの端末には多くの日本製の部品が搭載されており、この分野の動向も多くの日本企業に影響を与えます。

トランプ氏は大統領在任期間に置いて中国に対してかなり強硬姿勢をとってきました。バイデン氏に変わることにより、これに変化が起こる可能性があると言われています。

特に香港やウイグルなどの人権問題について、バイデン氏は強硬姿勢を取ることを明言しているなど、原則強硬姿勢を続けると見られていますが、一方でIT分野の規制に関する名言はされておらず、その変化の内容や度合いに注視する必要がありそうです。

トランプ氏は安全保障や貿易の面で日本を含めた同盟国を非難するような場面もありましたが、バイデン氏は中国に対して同盟国との強調を重視し、中国に協調行動を取らせると約束しており、中国抑え込みの流れは継続される見込みです。

日本は経済的、地政学的に中米の板挟みになりやすい立場にいるため、難しいポジション取りを求められる場面も増えるでしょう。

 

経済政策

 

バイデン氏の公約に含まれる経済政策は公共投資を大きく増やすものでした。
その中でも規模が大きいのが「気候変動対策のためのインフラ投資」で、その規模は2兆ドルという巨額なものになっています。

この中で、「化石燃料産業に対する補助金の全廃」が明確に示されており、気候変動抑制に関する多国間協定であるパリ協定から離脱したトランプ政権とは方針が大きく変わります。

端的に言うと2021年以降の米国では火力発電が大きく減っていくことが考えられます。

日本では東日本大震災以降、石炭火力発電を推進してきました。
環境負荷が高いこの方法が国際的な批判を受けたため、シェールガスへの切り替えを打ち出しましたが、今回のバイデン氏が掲げるのは石炭だけでなくシェールガスも含めた化石燃料からの脱却になります。

これは今まで設備投資を行ってきた日本のエネルギー関連企業やその下請けにとっては非常に厳しい方針転換となります。

発電だけでなく、バイデン氏の公約の中では電気自動車=EVの普及促進も含まれており、自動車産業においても大きな変化が起こると予測されています。





車社会である米国のEV化が進めばその影響は巨大で、日本の自動車産業全体が大きな影響を受けます。

カリフォルニア州では2035年までにディーゼルを含むガソリン社の新車販売を禁止する方針が発表されています。

欧州などでもこの動きはありましたが、自動車社会である米国内でこの動きが加速するとなると電気自動車の開発に遅れた日本の自動車産業にとっては致命傷になりかねません。

ガソリン車禁止にはトヨタプリウスなどの「ハイブリッド車」も含まれるため、日本企業の得意分野が全く使えなくなることを意味します。

2019年時点でEVの世界市場における日本企業のシェアは10%程度しかなく、中国製や米テスラに大きく差を付けられています。

今までの自動車はガソリンエンジンのウェイトが大きく、また裾野が広い産業を形成する理由でもありました。部品点数の多いエンジンは多くの中小企業を支えてきたわけです。

一方EVは電池とモーターがあればその部分がクリアできるため、今までとは全く違った産業構造になります。

テスラのEVを見ていただければわかりますが、「自動車」というより「動くデジタルデバイス」と言った趣で、今までのノウハウが通用しないことは明らかです。

トランプ政権時代とは180度変わると言っていいほど変わる気候変動対策ですが、日本の方針はトランプ政策と一致していた部分が大きいため、非常に大きな変化になります。

日本の自動車産業が総崩れということにでもなれば、どれだけの影響が出るか計り知れません。自動車産業にはこの環境変化への順応を期待したいところです。

 

Made in All of America

 

バイデン氏の経済政策の中で気になる点がこの「Made in All of America」。米国内での生産を促進し、さらにBuy American政策により4,000億ドルの米国製品の購入がされることになります。

内訳や米国部品の割合などは未定ではありますが、トランプ氏の「America First」を思い起こされるこのMade in All of Americaは自国優先主義とも捉えることができ、日本の製造業にとっては不安材料になります。

そもそも米国は1823年に発表された、ヨーロッパ諸国との相互不干渉を提唱する「モンロー主義」の国でもあり、トランプ政権はそこに戻ったという見方をすることも可能です。

トランプ氏が脱退を決定したTPPの復帰についても慎重姿勢を見せており、日本の産業界にとっては、バイデン氏の通商政策についても予断を許さない状況にあると言えます。

 

まとめ

 

 

いかがでしたでしょうか。まだ米国内でも報道されていない内容も多く、未来のことを正確に予測することはできませんが、今までのバイデン氏の言動より今後のバイデン政権における政策は、日本の産業界にとって楽観的なものとは言えないようです。

ただ、自動車のEV化などは米国の政権交代がなくても欧州などを筆頭に既定路線になっていましたし、新型コロナにより日本の経済構造も大きな変化を見せています。

日本の企業、とりわけ情勢に左右されやすい中小企業にとっては、今後も米国の経済政策や対中政策とその影響を見ながら、自社が生き残るため、さらなる繁栄をするために大きな変化を求められる時代になりそうです。

 

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