コロナだけではない...2020年倒産した老舗企業とその理由とは

bankruptcy-2020

世界でも有数の中小企業大国と知られている日本ですが、実は倒産しないで生き残っている企業の数も多く、長い歴史や伝統を有している老舗企業が多いのも日本企業の特徴です。

100年以上存続している企業は、3万社を超えており、それぞれの老舗企業が長い歴史の中で培った経営手法や教訓などを武器に、リーマンショックといった社会情勢の大きな変化にも耐えて生き残っています。

そんな老舗企業であっても、今回の新型コロナウイルス感染拡大によって倒産に追い込まれてしまった企業は少なくありません。

消費者が不要不急なお出かけはしない、買い物は控えるといったやむをえない風潮が流れる中で、業歴100年以上の老舗企業が倒産した数は過去最高を更新しました。

そこで今回は今年倒産した老舗企業の情報を追うとともに、どういった分野の企業がなにを原因として倒産してしまったのかについて、詳しく見ていきたいと思います。

業歴100年以上の老舗企業の倒産・休廃業・解散


帝国データバンクが調査した、2019年度(2019年4月~20年3月)の「業歴100年以上の老舗企業の倒産・休廃業・解散」した件数は、579件と前年度から約25%も増えています。

このうち、倒産は19 年度で105 件(前年度比4.0%増)と過去3 番目の高水準、一方で休廃業・

解散は474 件(前年度比30.2%増)で2 年ぶりに増加し過去最多、増加率も過去最高です。

業種別に見る倒産・休廃業・解散


倒産・休廃業・解散の内訳を業種別に見てみると、1番多かったのがやはり「小売」(209件)となっています。

以下、「卸売」(130件)・「製造」(114件)と続いており、その中でも製造は過去最多となったのが特徴的です。

小売・卸売りなどは、近年全国各地に利便性が良く安い値段で販売を行なうディスカウントストアやドラッグストアが出店したことを契機に、経営が苦しんでいる状態が続いていました。

また零細小売・卸売などは、経営者層が高年齢化していることによって、コロナウイルス感染拡大前から少しづつ店を閉めざるを得ない状況になっていたところが少なくありません。

そういった状況で、コロナウイルス感染拡大による経済の停滞が起きてしまったことにより、倒産する企業が相次いでしまったことも、倒産数が増えた原因の1つでしょう。

その他の倒産・休廃業・解散した企業の内訳は、「建設」(40件)・「不動産」(39件)が小売・卸売りに続きます。

業種細分別の倒産・休廃業・解散


以下の表は、倒産・休廃業・解散した老舗企業の業種を細かく分けたものです。

順位

業種

件数

1

酒小売

26

2

貸事務所

20

3

呉服・服地小売

18

4

婦人服等小売

17

5

食料品小売

14

6

ホテル・旅館等

13

7

酒類卸

11

8

印刷業

10

やはり酒小売がTOPの件数になっているのが分かります。

続くのが「貸事務所」であり、これは新型コロナウイルス感染拡大によって、国民が出勤などを行なうことが少なくなったことが影響した結果なのではないでしょうか。

リモートワークといった、新しい働き方が一気に浸透したことによって、都心部にオフィスは必要ないのではないかという考えも主流となってきており、コロナウイルス収束後の動向に注目です。

次に続くのが「呉服・婦人服」といった、アパレル関係倒産数になります。

百貨店や駅に併設されている店舗へと足を向ける消費者が、激減したことによる影響が大きく現れた結果として倒産数も増加した形に。

食料品小売・酒類卸といったコロナウイルス感染拡大による影響を、時短営業や自粛要請といった形でもろに受けた業種も倒産数を伸ばしています。

今年倒産した老舗企業① レナウン

レナウン本社 画像引用:Wikipedia



ここからは今年倒産した老舗企業について、どういった企業がなぜ倒産してしまったのかについて見ていきたいと思います。

まずはアパレル業界に激震が走った、老舗アパレル企業「レナウン」です。

118年という長い歴史と伝統に幕を下ろした「レナウン」


高級百貨店に店舗を構えて、紳士服などで良く知られたレナウンは、破産といった形で長い歴史と伝統に幕を下ろしました。

6月15日に東証一部でのレナウンの株式取引が終わり、終値は4円と日本のアパレル産業を支えてきた老舗企業には悲しい終わり方でした。

終値に基づいて試算したレナウンの時価総額は約4億円と、全盛を誇っていたリーマンショック以前に比べると、500分の1にまで落ちてしまっていたのが印象的です。

もっともレナウンが破産してしまったのは、コロナウイルスの感染拡大前からその原因があったといわれています。

時代に追いつくことができなかったレナウン


レナウンは、元々百貨店と共同でその業績を伸ばしてきた企業です。

しかしインターネット通販の台頭・アパレル業者の増加による消費者の趣味・趣向の変化などが徐々にレナウンを蝕み、破産といった結果になってしまいました。

特に大型ショッピングモールやネット通販などが増加したことにより、百貨店の利用者数が激減したことで、レナウンの保有する店舗に消費者が訪れなくなってしまったというのも大きな打撃と言ってよいでしょう。

こういった時代の変化や消費者の趣味・趣向の移り変わりに、レナウンは追いつくことができず、業績を年々悪化していたところに、新型コロナウイルス感染拡大というとどめがさされてしまったのです。

必ずしも新型コロナウイルス感染拡大だけが原因だったというわけでは、なかったということも頭の片隅に置いておく必要があります。

今年倒産した老舗企業② 広栄商会


広栄商会は1961年に創業してから、ガソリンスタンドを主に経営することを目的に事業を展開していました。

新栄運輸株式会社のグループの1つであり、ガソリンスタンド経営の他に会社保有の物件を賃貸するなども行なっており、最盛期には年売上約16億円を計上するなど、日本の物流を支えてきた企業の1つです。

もっとも車検・整備・レンタカーなどの事業や、給油サービスの競争激化によって、近年少しづつ業績を落とし続け直近の2020年3月期の年売上高は約9億5000万円で落としていました。

しかし10月1日に、親会社の新栄運輸にて不意経理が発覚したことにより、グループ企業全体が資金繰りに苦しむことに。

結果的に親会社とグループ会社の連鎖倒産によって、約60年に渡る長い歴史に幕を下ろしました。

直接的にコロナウイルス感染拡大による倒産とはいえませんが、コロナ禍における倒産情報の1つの例として参考にしてください。

 

今年倒産した老舗企業③ 創業1869年 老舗かまぼこ店「丸う田代」


新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の飲食業界に大きな打撃をあたえています。

緊急事態宣言による消費者の外出控えを端として、度重なる国や自治体の自粛要請や時短営業によって、普段のような営業をすることができていない状況です。

加えて消費者自体も、不要不急の買い物や食事は控える傾向にあるので、飲食業界が被っている影響は甚大なものがあります。

そんな中で創業1869年という長い歴史に幕を閉じたのが、神奈川の老舗かまぼこ店「丸う田代」です。

品評会で受賞経験のある名店がなぜ


神奈川の小田原に店舗を構えている老舗かまぼこ店「丸う田代」は、様々な品評会で受賞経験がある老舗中の老舗です。

小田原には「鈴廣」「籠清」というかまぼこの名店があり、丸う田代の2つと合せて「御三家」と呼ばれるかまぼこ店でした。

小田原を訪れた人ならば、この御三家のうちの1つのかまぼこは食べないと損というほど、有名な老舗だったので、店を閉めるというニュースには激震が走りました。

徐々に傾いていた老舗の経営


農林水産省大臣賞・水産庁長官賞といった、さまざまな受賞経験がある老舗かまぼこ店ですが、帝国データバンク調べを分析すると、徐々に経営は傾いていったことが分かります。

経営がもっとも順調であった1992年3月には年間売上は約25億6300万円を計上していました。

しかし外食産業の発達、消費者の嗜好の多様化などが進むにつれて、かまぼこ自体の需要が少なくなっていったこともあり、経営は悪化。

観光土産として徐々に販売数は落ちていき、卸売の販売も競合他社全体が低迷している中で、借入金だけが膨らんでいく経営が長く続きました。

2020年3月期の年売上高は約14億5200万円にとどまり、約7200万円の当期純損失を計上。

既に新型コロナウイルス感染拡大の前の2月には、銀行から融資を受けられないことを告げられた状況の中で、感染拡大が丸う田代を襲いました。

感染拡大による営業自粛の要請や、消費者の自粛が続く中で、丸う田代自体も直営店舗の臨時休業をせざるを得ない状況に追い込まれ、例年と比較しても売上は激減。

2020年11月付けで長い歴史に幕を閉じることとなりました。

増える歴史・伝統を有した飲食店の閉店


新型コロナウイルスは確実に、日本の飲食業界を蝕み続けています。

例えば江戸時代に創業し175年の歴史があった「割烹 武蔵屋」(足立区)も9月末に、店を閉めることを決めました。

割烹という高い年齢層に需要がある飲食店のため、高齢者層の外出自粛などがもろに大きく影響したことが原因です。

年末年始の忘年会・新年会といったシーズンまで持ちこたえられることができずに、長い歴史に幕を閉じてしまったことになります。

こういった長い歴史や伝統を有した飲食店の閉店は、相次いで起きており日本の食文化を支えてきた老舗企業が大きな転換点を迎えている状況です。

経済活性化のための「go to イート」も、高齢者層をターゲットにした店では、そもそも客層がインターネットを使いこなすことができておらず、意味を成していないとの指摘もあります。

今年倒産した老舗企業④ 旅館・ホテル・観光業


飲食業界とともに、新型コロナウイルス感染拡大のあおりを受けているのが「旅館・ホテル・観光業」です。

感染拡大防止のために、県をまたいだ移動を自粛する要請が各自治体からなされるなど、旅館・ホテル・観光業には大きな被害が生じております。

もっともこういったコロナ禍で、極端に苦しんでいる観光業関連企業にはいくつか共通点があります。

指摘されるインバウンド依存


近年では、中国を筆頭に日本の観光業界はインバウンドに依存している傾向がありました。

確かに外国から訪れる外国人観光客を確保することは、事業においても重要なことですが、一方で国内の観光客に対する集客がおざなりになっていたのも事実です。

インバウンドに偏重してしまった結果、新型コロナウイルス感染拡大によるあおりを受けて、旅館・ホテル・観光業は壊滅的な被害を受けてしまいました。

老舗企業の倒産はコロナ以前の問題が表面化


今年倒産した老舗企業の特徴として、コロナ以前から経営的に問題を抱えていた企業が多いということです。

確かに新型コロナウイルス感染拡大によって、経済状況は悪化して、どの企業も苦境に立たされています。

しかしコロナウイルスによって一気に倒産に追い込まれたという気魚はほとんどなく、綱渡り的に行なってきた経営が「コロナ」という予測不可能な経済情勢の変化によって、一気に表面化してしまったことがほとんどです。

老舗企業は今後も他の企業と同様に、苦境に立たされることは間違いありませんが、伝統・格式を守るためにしっかりとした経営方針を定めている老舗企業だけが今後生き残ることができるでしょう。

まだまだ余談を許さないコロナウイルス感染拡大という状況で、様々な老舗企業がこの苦境を乗り切れることを祈っております。

 

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