「クラウド」という用語もここ数年で定着し、クラウドサービスは日常に欠かせないものになりました。
しかし、「クラウドって何?」と問われると、明確に答えられない人もいるはずです。
言葉が指す範囲が広いため、理解が曖昧なままではないでしょうか?
そこで今回は、クラウドについて分かりやすく解説します。
クラウドとはインターネットを通じて、ソフトウェアやハードウェアを必要なときだけ利用することです。
今までは、手元のパソコンやスマホにソフトウェアをインストールしたり、データを保存しなければ、パソコンやスマホで色々な作業をしたりデータを保存することはできませんでした。
つまり、ソフトウェアやハードウェアを「所有」しなければ使うことができなかったのです。
しかし所有しなくてもインターネットに接続できる環境があれば、ソフトウェアやストレージなどをインターネット上で動かし、利用できるのが「クラウド」になります。言い換えれば「レンタル」して利用するイメージです。
さらにわかりやすいように、具体例を出して説明していきます。
ソフトウェアなどをインストールしたり、購入して利用するものは、クラウドではありません。
例えばwordやExcelです。クラウドを使わずに文章や表を作成するためには、パソコンにwordやExcelというアプリケーションを入れなければならず、作成したデータもパソコンの中に保存する必要がありました。
要するに、パソコンの中だけで作業が完結していたのです。
このような利用形態を「オンプレミス」と呼びます。メールソフトをインストールして使う、OutlookやBecky!などもオンプレミスです。
その反対に、送受信やデータの作成、保存など、インターネット上で全ての作業を行うことができるものが「クラウド」です。
アカウントさえ持っていれば、文章を作成できるGoogleドキュメントや表計算を行えるGoogleスプレットシートはクラウドになります。
また、Yahoo!メールなどのWebメールやone driveなどのオンラインストレージもクラウドです。
このように、データやアプリケーションをインターネット上で使用するのがクラウドとなります。
インターネットさえ使えれば、さまざまなサービスを受けることができるのがクラウドですが、その中にも3つの種類があります。
◆SaaS(サース)…Software as a Serviceの略。ソフトウェアの提供を行う。Gmail、Yahoo!メール、Twitter、Facebookなど。
◆PaaS(パース)…Platform as a Serviceの略。ソフトウェアを動かすための、ハードウェアやOSなど開発環境の提供を行う。Google Apps EngineやMicrosoft Azureなど。
◆IaaS(イアース)…Infrastructure as a Serviceの略。サーバー、ストレージなどの情報システムに必要なインフラの提供を行う。Google Compute EngineやAmazon Elastic Compute Cloudなど。
SaaSは個人で利用することが多いですが、PaaSやIaaSはエンジニアなどの専門家が利用することがほとんどです。
また、クラウドの契約形態についても、不特定多数の利用者に提供される「パブリッククラウド」と、社内などの閉じられたネットワークの中で特定の利用者のみに提供される「プライベートクラウド」があります。
Webメールなどを含むパブリッククラウドは、共有型のサービスなので、安価ですばやい導入が可能です。
しかし、個別のカスタマイズはできません。
プライベートクラウドは、専有型のサービスなのでカスタマイズも可能です。
セキュリティも高く安心なのですが、費用が高く、導入までに時間がかかることがあります。
一般的な利用者は、SaaSを使うため、他の種類は知っておくだけでも良いでしょう。
クラウドサービスを使う立場からは、この違いが影響することはほとんどありませんので知識として知っておけば問題ありません。
クラウドには、さまざまなサービスがあります。ここでは、具体的にクラウドでどのようなことができるのか見ていきましょう。
クラウドでは、サーバーもソフトウェアもインターネットの中に存在します。そのため、保存用の大容量のディスクが不要で、パソコンやスマホなどの端末にデータを保存する必要がありません。
クラウドだからこそ、テキストや画像、音声などのデータをたくさん保存することができるのです。ただし、無料や低価格で利用できるサービスでは、使用できる容量に制限があることが多くなります。
専用のソフトがなくても使うことができる
クラウドは専用のソフトウェアをインストールしたり、購入する必要がありません。インターネットの指定されたページにログインするだけで、サービスを利用できるものがほとんどです。
クラウドを利用すれば、複数人とデータを共有することも可能です。インターネットが使える環境であれば、たくさんのスタッフが、同時にアクセスして共同作業をすることが可能なサービスもあります。
場所を選ばずいろいろな端末から利用できる
データをインターネット上に保管することによって、パソコン、スマートフォン、タブレットなどいろいろな端末から利用できます。そのため、場所や機器を選ぶことなくデータをチェックしたり、編集したりといった作業ができるのです。
例えば社内のパソコンで作成したデータを、外出先でスマホからチェックしたり、壊れたパソコンを新しいパソコンに変えても、インターネット上にデータが存在しているため、すぐ業務に取り掛かることができます。
さまざまなサービスを利用できる
クラウドにはさまざまな種類があるので、できることが豊富です。クラウドサービスを利用すれば、Webメールや、データが保存できるオンラインストレージを利用したり、さらにプログラムの開発などもできます。
例えば、クラウドサービスを在宅勤務(テレワーク)や社員研修などのeラーニングに活用したり、勤怠管理、災害時の安否確認などのシステムも、コストをかけずに築くことがが可能です。
このように、データの保存や共有が簡単にできること、時間や場所を選ぶことなく利用できることがクラウドの特徴ですから、仕事のツールとしても幅広く使うことができます。
クラウドの最大のメリットは、インターネットさえあれば、いつでもどこでもサービスが使えることです。
しかし、デメリットも存在します。
◆コストが削減できる
利用者がサービスを所有するのではなく、必要なサービスを必要なときだけ利用する仕組みなのため、目的に応じて必要な機能だけを契約でき、運用コストが抑えられます。
◆時間を短縮できる
使いたい機能だけを選ぶことができるので、スピーディーに運用できます。
また、予め一定の機能が利用できるクラウドサービスを導入すれば莫大な開発時間も必要なく、トータルでの時間を効率化することもできるでしょう。
◆メンテナンスが不要
クラウドでは、サービスを提供する事業者が管理及びメンテナンスをしています。
そのためバージョンアップやインターネット障害への対応をする必要がありません。結果としてメンテナンスにかかる時間や、経費を削減することができます。
クラウドとは、インターネットを通じて、必要なときに必要な分だけサービスを利用できる使い方のことです。
インターネットが使える環境さえあれば、さまざまなサービスが利用できます。
しかし、便利な反面システムやデータ管理において、サービスを提供する事業者に依存することになりかねません。
システム障害が起こったり、事業者が倒産したりすれば、依存度合に比例してリスクも大きくなります。
クラウドサービスを利用するときは、自社管理とのバランスや、リスクをよく考慮しましょう。