デービッドアトキンソン氏とは?菅政権成長戦略会議の重要人物に迫る!

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長かった安倍政権が終焉を迎えて、菅政権が誕生しました。
菅首相は、安倍政権の下で日本の成長戦略を立案し推進していた未来投資会議を廃止し、新たに「成長戦略会議」を設置。

成長戦略会議は、日本国経済の持続的な成長を達成するために、成長戦略の具体化を推進する役割を菅政権の下で担うことになります。

民間から著名な有識者が選ばれており、日本商工会議所の三村明夫会頭などを筆頭に、日本の経済の中核を担う人物が名を連ねている中、異彩を放っているのが「デービットアトキンソン氏」です。

菅首相と懇意にしていると報じられており、インバウンド業界や中小企業の生産性向上のために尽力してきた人物ですが、あまりよく知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回から全5回に渡って、菅政権の成長戦略会議メンバーであるデービットアトキンソン氏について詳しく掘り下げていこうと思います。

デービットアトキンソン氏の主張概論(第一回)
日本企業の生産性はなぜ低いのか(第二回)
低すぎる日本の最低賃金(第三回)
中小企業優遇政策はどう変わるのか?(第四回)
今後日本企業がどうしていくべきか(第五回)


記念すべき第1回目は、デービットアトキンソン氏とは一体何者なのか、彼の主張の概論について詳しく見ていきましょう。

デービットアトキンソンとは何者?経歴やプロフィールを紹介


デービットアトキンソン氏は1965年イギリスで生まれました。
名門オックスフォード大学で「日本学」を専攻し、日本に在住して約30年になります。

1992年にアメリカ金融大手のゴールドマンサックスにて金融アナリストとしててキャリアをスタートし、日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し一躍注目を集めました。

その後2009年に国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社社長に就任し、2017年からは日本政府観光局特別顧問を勤めるなど、長い期間日本に携わり続けています。

現在も小西美術工藝社社長として、日本の美術に携わる立場から伝統文化を守るために精力的に活動中です。

デービットアトキンソン氏の主張とは?



デービットアトキンソン氏は、ゴールドマンサックスという世界最大の金融機関においてアナリストとして活動していた経験から、日本人が口には出しにくい問題に対して切り込んで論じてくれることで有名です。

アトキンソン氏は、「人口減少」と「高齢化」に直面する日本では、企業の生産性を上げることが急務であると論じており、様々な視点から日本の経済的問題に関しての解決策を提言しています。

そこで以下ではデービットアトキンソン氏の主張について、主なものを紹介していきたいと思います。

人口減少に向き合え 生産性の向上
最低賃金の引き上げ
企業規模の拡大

それぞれの詳しい内容については、第一回以降の連載で焦点を当てていくので、そちらもご覧ください。

主張 1.人口減少に向き合え




アトキンソン氏は、日本は何よりも人口減少と向き合わなければならないと述べております。

日本は、地震・台風といった災害からの復興やバブル崩壊・リーマンショックといった金融危機に見舞われながらも経済をなんとか持ち直してきました。

しかし氏はこれを「事後対応」に過ぎず、今後向き合わなければならないであろう「人口減少」には事後対応では対応できないと論じています。 経済活動が活発な先進国の中でも、日本という国は独特の経済問題を抱えておりそれが「高齢化による人口減少」です。

人口減少は先進国でも直面している国は少なく、今後どうなるか予想がつきません。
日本の人口は2060年までに30%減少する 世界人口は2060年までに36.1%増加するといわれています。
高齢化社会が進んでいる欧州諸国を見渡しても、高齢化は進んでいますが「人口減少」に直面している国はほとんどありません。

しかし一方で日本は2060年には、人口減少が加速し現在の人口から約30%が減少するといわれています。

人口減少が生じることによって、日本には一体何が起きるのでしょうか?
その答えは「デフレ」です。 人口減少は強烈なデフレ要因 氏は人口減少というのは、それだけで強烈なデフレ要因であると述べています。

簡単に例を上げるだけでも、人口減少による以下のような問題が生じる可能性があると述べており、人口減少に対する日本人の対応は確かに温いと言わざるをえません。

人口減少による不動産価格の下落・物価の高騰 企業の競争力の低下 労働人口の低下 競争力・労働人口の減少によりさらに加速する人口
こういった問題を解決するには、氏は「継続的な賃金の値上げ」をするしかないと述べています。
賃金の値上げについては、以下でも詳しく解説するのでそちらを参考にしてください。

主張 2.生産性の向上




日本は少子高齢化社会に突入したことによって、働いてない無職の高齢者を労働人口が支えていかなければいけない時代になりました。

税金の負担をするために労働人口の給料を増やさなければいけませんが、一体どのくらいの金額を増やすべきなのでしょうか。
社会保障に費やしているコストを労働人口で割り、さらに年間に平均労働時間で割ると「労働人口の1人・1時間あたりの社会保障費用負担額」が計算できます。

これによると2060年には1人あたり2150円になると予想されており、今の最低賃金では全く対応できないでしょう。
もっとも氏はこれに悲観することなく、生産性の向上によって対応できる問題であると述べています。 日本の生産性は世界と比較しても著しく低い? 日本の生産性はアメリカなどの先進国社会の中でも、群を抜いて著しく生産性が低いといわれています。

確かに自動車産業を中心とする、一部産業は優秀で生産性も高い数値を記録していますが、国内のそれ以外の産業が大きく足を引っ張っている状態です。
アメリカと比較しても、金属・金属製品・化学産業では生産性は負けていないのですが、それ以外の産業では圧倒的に劣っているのが現状になります。

金融・保険・宿泊・飲食・電気ガス水道・情報通信などあらゆる産業分野で生産性が劣っているので、今後日本の経営者人がこれを変えていく必要があるでしょう。

もっとも悲観するばかりではなく、日本の生産性が著しく低いにも関わらず、世界における人材評価は諸国を抑えて4位に位置するなど、一定の評価は受けています。
つまり人材評価は高いにも関わらず、生産性が恐ろしく低い民族なのが日本の特徴であり、今後解決していかなければいけない問題でしょう。

人口減少と高齢化に生産性向上で立ち向かう 今後人口減少と高齢化による労働人口の負担が増していく日本では、生産性の向上が急務です。

もっともこの生産性というのはどのくらいあげればいいのでしょうか。
一見難しそうに見える計算ですが、簡単にすることができるので見ていきましょう。

現在のGDPを生産年齢人口で割る
その後その数字を2060年の生産人口で割る
出た数字が現在のGDPを維持するための1人あたりのGDP

この数字によると、2060年までに毎年約1.29%の生産性を向上する必要があります。
しかし日本は現在先進諸国の中でも、圧倒的に生産性が低いので上げることは難しくないでしょう。

1年間あたり1%の生産性の向上をすることができれば、人口減少が加速度的に進む日本でも現在のGDPを維持することは難しくないと氏は語っています。
もっとも周辺諸国は維持ではなく上昇していく可能性があるので、日本が国際社会の競争に取り残される可能性は高いでしょう。

この生産性を向上するための鍵が、最低賃金の引き上げだと氏は語っています。

主張 3.最低賃金の引き上げ




最低賃金の引き上げを行うことによって、一体どのようなことが起こりうるのでしょうか。
詳しい内容は、連載の他の回に譲りますが大まかにいうと以下のようなことが起こりえます。

最低賃金引き上げによる生産性向上
企業規模の拡大
女性がさらに活躍する社会の到来
格差社会を是正することに貢献
地方過疎化を食い止め、地方創生に繋がる
少子化対策になる


パッと上げただけでも労働賃金を引き上げることによって、上記の日本が抱えている社会問題を軒並み解決しうる可能性があるのがお分かりでしょうか。

確かに最低賃金を引き上げることによって、企業の倒産が起き失業者がハローワークに溢れ返るのではないかと憂慮する経営者の方もいるでしょう。

もっともこの考えは既に世界様々な国々で起きた現実の事実として、否定されており最低賃金を引き上げても企業の倒産が起こりうる可能性は低いということができます。

そこで日本という国が最低賃金を引き上げるためにまずしなければいけないことは、一体何なのでしょうか。 最低賃金は社会政策ではなく経済政策で扱うべき 日本と諸外国の違いで1番大きいのは、最低賃金を経済政策ではなく社会政策として扱っている点です。

欧州を筆頭とする世界各国では、最低賃金に関する問題を経済政策と捉えておりますが、日本では主に「社会福祉」の問題と捉えて厚生労働省の管轄になっています。

しかし社会福祉という観点では最低賃金の問題は解決できないと氏は語っており、最低賃金の引き上げを行って「強制的」に生産性を引き上げるには、経済産業省による管轄に移行しなければ日本の問題は解決されないでしょう。
確かにバブル経済などの景気が良かった時は「失業者を少なくし官民一体で労働者を保護していく」という理念のもとに、最低賃金を社会福祉の問題と捉えても問題はありませんでした。

しかし現在では、人口減少・高齢化社会が進んでいき日本という国が社会体制の見直しを迫られています。
1人1人の生産性を高めることで、国際社会での競争力を維持するためには、最低賃金の向上を図ることが必要不可欠であり、今後の日本政府の対応がどうなるのか注目していきたいところです。

主張 4.企業規模の拡大




日本の生産性向上のために避けて通ることのできない問題が、企業規模の拡大と氏は語ります。

先進国ではいわゆる中小企業に勤めている人の割合は約10%前後ですが、日本では全労働者の約30%に登っているのが日本の大きな特徴です。

日本という国が人材評価では世界4位とトップレベルの評価を受けているにも関わらず、生産性で28位と遅れをとっている最大の理由が、この中小企業に勤める人の多さなのではないかという発見を氏はしました。

確かに人材評価が30位前後にある国は、生産性も同じくらいの順位に位置しているにも関わらず、日本はこの2つの順位が大きく乖離しています。


生産性と企業規模の関係



実際にカナダ銀行が発表した論文によると、アメリカとカナダの生産性の違いは企業規模の違いに起因していることが確認されているそうです。


アメリカ・カナダは地理的に隣接しているのにも関わらず、生産性が約50%近く離れているのですが、この原因は企業規模の違いであるということが現在有力な説になっています。
中小企業の統廃合は人口減少の下では致し方ない

日本では中小企業はかなり優遇されており、従業員規模が2桁ギリギリのところから何千にもいるところまで数多く存在しています。


こういった中小企業を維持するために、国が政策として様々な優遇策を採用していますが、人口減少・高齢化社会の下では見切りをつけることが必要です。

今後ますます人口が減っていくにつれて、従業員を雇う余裕もない企業が多く出てくることが予想されます。

そういった死にかけの中小企業に対してお金を入れて延命するよりも、中小企業間で統廃合を行うことの方が生産性の向上にも繋がるので、日本としても大きなメリットといえるでしょう。

そのため企業数の減少が起きたとしても、日本はどこかで企業規模拡大のための中小企業の見切りをつける必要があるのだ、と氏は語っています。


まとめ デービットアトキンソン氏の主張



成長戦略会議のメンバーであるデービットアトキンソン氏の主張について今回はまとめてきました。

全五回を通じて、デービットアトキンソン氏の主張をまとめ、今後日本という国はどのように動いていけばいいのかを読み取っていこうと思います。

次回第二回目は、今回も紹介した日本企業の生産性はなぜ低いのかをさらに深掘りしていこうと思うので、ぜひ次回もご覧になってください。

 

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