老舗企業の新しい挑戦

challenge

働くサラリーマンの味方である牛丼老舗チェーン「松屋」

50年以上続く牛丼の老舗で松屋フーズホールディングのメイン事業です。

現在、コロナウイルスの影響により大きな打撃を受けた飲食業界。松屋も影響を受けた飲食店の一つ。

また、牛丼業界は「御三家」と呼ばれるほど、すき家、松屋、吉野屋の大手3社がしのぎを削っていて、商品展開もほぼ変わらないことから、価格競争が起こりやすく差別化がしづらいです。

3社の中でもすき家が少し飛び抜けていて、その下に吉野家、松屋といった順にシェアを獲得しており、松屋は新しい挑戦が求められています。

そこで、松屋が新たな挑戦として女性をターゲットとした挑戦を行っています。
今回は、松屋の挑戦と戦略をまとめていきます。

牛丼老舗チェーン「松屋」の現状と課題

男性客が約8割で女性客を取り込めていない

松屋のみならず、他のライバル牛丼チェーンの現状として男性客が多いということです。

働くサラリーマンのファストフードという印象が強く、女性1人だと入りづらいという意見も多く上がっているそう。
そのため、女性客が取り込めておらず、特に10代の層にあまり人気がないのです。

「統一感をあえて出さない」インスタグラム戦略の挑戦

松屋は、女性客にもっと利用してもらうという新しい挑戦として、10代から30代後半にターゲットを絞り、インスタグラムでの公式松屋アカウントの運用に注力を注ぎました。

インスタグラムに注目した理由としては、女性のアクティブユーザーの割合が多く、ターゲットに対してアプローチしやすいからだそう。

当然、インスタグラムはどの牛丼チェーンも運用しているのだが、松屋は「あえて統一感を出さない」という今までのインスタグラムの考え方とは逆向した戦略を実行し、2020年8月現在、フォロワーは26,000人まで伸ばしています。

松屋のインスタグラムでは、統一感よりも「イケてる」というイメージ作りに徹底し、若い女性層に「松屋に行ってみようかな?」と思われるようなリブランディングが狙いだったそう。

ちなみにライバル牛丼チェーンである「吉野家」は、フォロワー13,000人と、松屋の半分の数しか獲得できていません。

なぜ統一感を出さないのか?

インスタグラム戦略の基本として、3×3の投稿の統一感を出すのですが、松屋はあえて統一感を出していません。

松屋公式インスタグラムアカウントの運用担当の方によると、ブランドイメージが強いファッション系や一定以上ターゲットからの関心を得られている企業であれば、統一感を出した方がいいですが、松屋のように関心が薄いところから広げていくような場合、「なにこれ?」と興味を引くことができるコンテンツの方が、インスタグラム戦略としてうまくいくそう。

新たな挑戦で苦労した点

インフルエンサーからの印象が悪い

インスタグラム戦略の中で重要な要素として、インフルエンサー(フォロワー10,000人から100,000人ぐらいのインスタグラム利用者)の方に宣伝を依頼し、認知を広げるというもの。
インフルエンサーは、フォロワーとのコミュニケーションを大事にしていて、ファンの熱量が高いため、低コストで高いコンバージョンが見込めます。

しかし、「牛丼」という食べ物自体のイメージが男性よりということもあり、宣伝の依頼を受けてくれるインスタグラマーはほとんどいなかったそう。

松屋は、まずインフルエンサーに興味を持ってもらうために、奇抜な投稿やファッショナブルな投稿を意識し、インフルエンサーから逆に宣伝したいと言わせるようなお洒落な投稿を作っていきました。

挑戦的な戦略だったため、実行に時間がかかった

松屋のインスタグラム戦略は、一般的な戦略の方法とは外れていて、この戦略に確信が持ちづらかったため、実行に時間がかかったそう。
そのため、競合他社の分析や本社とインスタグラム運用担当との密なコミュニケーションを取ることで実行に至りました。

投稿で意識していること

松屋は、投稿を作る際に様々なことに焦点を当てていました。
この戦略は、新規顧客の獲得やリブランディングを考えている企業にマッチする場合が多いです。

「イケてる」を意識する

投稿の中でも「イケてる」を常に意識しており、ターゲットからの違和感や興味の引くことに専念しています。
例えば、有名なインスタグラマーを起用し、ファッション雑誌の表紙さながらの投稿をポストしたり、アニメ調の投稿をプロのグラフィックデザイナーに依頼をして投稿用の画像を作ってもらっています。

また、トレンドを意識した投稿も多く、うまく「イケてる」投稿に仕上げています。
最近だと、コロナウイルスの影響によりテイクアウトが増えてきたので、「テイクアウト×松屋」を映画の広告風にしたポストが話題になりました。

インスタグラムになかった新しい感情を刺激する

今までは、俗に言う「インスタ映え」と言うものに焦点が当たっていて、「綺麗」「可愛い」の感情にアプローチするものが多かったのですが、松屋のインスタグラム上では、「エモい」「懐かしい」「面白い」などの親しみに近い感情を意識しています。

例えば、2000年代前半に流行ったプリクラで使われていたギャル文字を写真にうまく描き、20代が懐かしいと感じるような投稿を作っています。

最近だと、タンバリンを使うお笑い芸人を起用し、タンバリン講座を行うなど松屋には直接関係のない面白いコンテンツを提供していて非常に挑戦的な企画ですが、フォロワーからは好印象のようです。

こういった感情にアプローチすることで「松屋って今何しているの?」という興味に繋げるが目的です。

フォロワーとの密なコミュニケーション

公式のアカウントではあまりやらない、フォロワーとコミュニケーションを心がけています。
松屋は、インスタグラム内のコミュニケーションの中でも特に、フォロワーが投稿内で会話できるようなコミュニティー要素の強い投稿を意識しています。

例えば、「皆様の青春松屋エモ話をシェアしてー。」のようにフォロワーがアクションしたくなるようなポストが多くあります。
フォロワーがコメントすることで、そのコメント対して別のフォロワーが返信をするというフローが生まれ、結果として投稿がファンの熱量を上げる引き金になっているのです。

また、問いかえるような投稿は親しみやすさを演出してくれるので、ターゲットである10代から30後半の女性にもアプローチしやすいです。

キャプションの長さ

キャプションの長さはそれぞれの投稿で違い、一言の投稿もあれば長文の投稿もあります。
写真をダイレクトに伝える時はあまり長く書かないそう。常に、フォロワーやターゲットが写真を見たときにどのように感じて行動するかが意識されています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

老舗牛丼チェーン店「松屋」のインスタグラムを使った新しい挑戦をまとめてみました。

現在、コロナウイルスの影響により飲食業界は真価が問われています。

牛丼業界のようにターゲットに偏りがあるような業界は、挑戦や変化が求められています。コロナ禍をチャンスに変えるような挑戦をして、会社に新たな風を吹かせましょう。

 

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