ニトリvsDCM!島忠TOBの行方は!?

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ホームセンター大手企業のDCMホールディングスが、中堅企業の島忠をTOB(株主公開買い付け)で子会社にすると発表しました。

ホームセンター業界の再編が加速されることが予想されるこのTOBは、順調に進むように思いましたが思わぬところから待ったの声がかかりました。

当初はDCM ホールディングスが島忠をTOBすることによって、ホームセンター業界で最大のグループが誕生する予定でした。

現在、DCMはホームセンター業界第2位であり、島忠は業界第7位に位置していたので、2社の売上を単純に合計するとその金額はおよそ5836億円。

ホームセンター業界で首位に立っているカインズが売上高4410億円だということを考えると、一気に覇権を握る業界の盟主が誕生するところだったのです。

しかしこのTOBに待ったをかけたのが、 全く畑違いの業界であるニトリに寄るTOBの参入の声明でした。

「お、ねだん以上。」でよく知られているニトリは、家具小売企業として日本でも最大の認知度を誇っており、DCM・島忠ともに全く予測しなかった参入でした。

そこで今回は島忠のTOBに関して、ニトリとDCMの争いが今後どのようになるのか解説していきたいと思います。

TOBに予想だにしなかった「ニトリ」の参入

 


2020年10月2日、ホームセンター大手のDCM が同業中堅企業の島忠をTOBによって子会社化すると発表しました。

ホームセンター業界が変化していくであろうこのTOBでしたが、10月20日ある会社の発表によって一気に注目度が跳ね上がったのです。

それは家具小売企業として知られているニトリの参入でした。

全く違った異業種からのTOB参入の声明でしたが、島忠としては翌21日には「具体的な提案は受注しておりません。決定している事項もありません。」と発表。

DCM側も当初予定していた通りのTOBを。進める方針を決めています。

一方で動きが注目されているのが、突如参入を表明したニトリの動きです。

全く予想だにしなかった異業種業界のニトリは「現在で決まっている事実はありませんが、島忠も含めて、M&Aを活用した成長の可能性を日々検討している」と発表しており、島忠という特定の企業の名前を名指しであげ目標であることを明かしました。

なぜ突然ニトリがホームセンター業界に参入するTOBを行うことを決断したのでしょうか。

 

家具業界で覇権を握ったニトリ

 

「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで知られているニトリは、今では国内家具業界では完全に覇権を握っている状況です。

新型コロナウイルス拡散前の2020年2月においても、6423億円という売り上げを誇り、営業利益は1000億円を超えていたニトリは完全に日本での家具業界において覇権を握っていました。

その後新型コロナウイルスが感染拡大し、リモートワークなどの影響で自粛や外出が少なくなった日本において、家具需要が大きく高まることで、家具業界はコロナ禍にあっても売上・利益とともに順調に数字を伸ばしていたのが特徴的です。

2020年3〜8月の売上高は前年度比12.7%増の3624億円、営業利益は同45%増の805億円となっており、多くの企業がコロナ禍において上手くいかない中で、圧倒的な成長をしていたのです。

おそらくその要因は、様々な企業でリモートワークが開始され在宅勤務や自宅待機での消費者のライフスタイルが変化したために、住宅家具やオフィス家具の需要が高まったことがあるでしょう。

日本の国内家具市場は売上高がおよそ1兆7926億円とも言われており、その中でニトリは売上高の約35%を占めていることもあって、すでにシェア・売上ともに完全に覇権を握っている状態なのです。

順調に売り上げを伸ばしており資金も潤沢なニトリ側からすると、TOBにもかなりの確率で勝利する目算があり、 DCMとの戦いに声を上げたのではないでしょうか。

 

ニトリには大きなメリットしかない

 

実は今回のTOBには、ニトリ側は大きなメリットしかありません。

TOBは上手く行うことで大きな恩恵を受けることができるのは、過去に証明されておりニトリもそれを狙ってTOBを行う決定を下したことが予測されます。

TOBをうまく活用して企業認知度の拡大を図った例が、現在では格安商品を大量に扱っていることでも知られているドン・キホーテです。

ドン・キホーテが一般消費者に認知されることになったのが、オリジン弁当で知られるオリジン東秀買収におけるイオングループとのTOB合戦になります。

それまではドン・キホーテというと、若者が集まる場所であったり、怪しい安い商品しか売っていないようなイメージがあったのですが、このTOB合戦をきっかけにディスカウントストアとして大きく知られるようになったのです。

あまり普通の一般消費者では立ち入らないようなイメージがあったドン・キホーテが日常を象徴とするオリジン弁当を買収しようとしたことにより、普通のディスカウントショップとして認知されるようになりました。

TOBは結果的に、オリジン東秀がドン・キホーテに買収されることを嫌がり、イオングループに買収されることによって終結を迎えたのですが、ドン・キホーテは失敗しても大きなメリットを得ることが出来たのです。

今回もニトリはドン・キホーテと同じように、家具企業としてのイメージだけではなくホームセンター買収によって、日常に身近な商品を多数扱っている企業だと一般消費者に認知される可能性が高まっています。

元々ニトリは、今では家具ではなく生活雑貨や日用品といった物を中心に売上を伸ばしているので、 ドン・キホーテと同じく騒動終結後には身近な日用雑貨の企業と認識されるようになるかもしれません。

 

ホームセンター業界の脅威となりつつあるニトリブランド

 


現在ニトリは現在ホームセンター業界の脅威となりつつあります。

元々ホームセンターというのは、 DIY・ 園芸・農業を営む人向けの専門店です。

最もこういった専門者に向けた製品だけではなく、日用品などの取り扱いも急速に進んでいます。

島忠を子会社化しようとするDCMも近年では日用品に力を入れており、専門者に向けた限定されるマーケットだけではなく、一般消費者も取り込むことで企業としてさらなる飛躍を図ろうとしているのです。

しかしそういったホームセンター業界の進出を阻みかねないのが、ニトリブランドになります。

上記で紹介したように、ニトリは家具業界で好調なばかりでなく、 生活雑貨・日用品においても圧倒的な売り上げを誇っているのです。

家具企業というイメージがありつつも、現在では日用品・雑貨において多くの売り上げをあげています。

なぜなら、 家具購入を目的に訪れる消費者は合わせて食器やキッチン用品など多くの生活雑貨を買う傾向にあるので、 家具と合わせてこういった小物もニトリは多く売っているのです。

もはや現在では、家具ではなくこういった生活雑貨などがほとんどの店舗において売上の過半数を占めています。

 

M&A経験はDCM側は経験豊富で一歩リード

 


資金が潤沢なニトリと比較するとDCMはお金という面では劣りますが 、M&A経験においては経験豊富であり一歩リードしています。

DCMは現在に至るまで苦しい状況にあるホームセンター業界再編の旗手として、様々な同業他社をM&Aによって傘下に置いてきました。

現在ではホームセンター業界においてはカインズが売上高4410億円と業界のトップを走っていますが、一方で DCMは4373億円とカインズを猛追しております。

今回の島忠に対してのTOBが成功すると、DCは売上高5908億円を誇るホームセンター業界のトップへと躍り出るために、何が何でも成功したいところでしょう。

DCMはもともと中・四国地方を本拠地としていたダイキ、中部地方を拠点としていたカーマ、北海道・東北・関東地方に店舗を有しているしているホーマック(それぞれ現DCMダイキ・DCMカーマ・DCMホーマック)が2006年に経営統合したのが成り立ちです。

その後は地方に存在するローカルホームセンターを相次いで買収を行っていき、 圧倒的なスピードで成長していきます。

ホームセンタータテヤマ(富山 2007年6月買収)
オージョイフル(大阪 2009年3月)
ホームセンターサンコー(熊本 2012年12月)

このように毎年のようにM&Aを行い、日本中にDCMホームセンター網を広げることで、ホームセンター業界でのシェアの拡大を狙いました。

2012年12月にサンコーを子会社にしてからは、M&Aにおいて目立った動きはしていませんでしたが、その後6年を経過してから再びDCMは動き出します。

ホームエキスポ
ハッピーワン
サンワドー

なぜこういったM&Aを行うことによって日本各地にあるホームセンターを子会社化していったのでしょうか。

そこには地域ごとの棲み分けされていたホームセンター業界が大きく再編されることで、業界そのものが大きく変わっていくという背景がありました。

日本各地にある様々な中小企業によるローカルホームセンターが、競合他社の大手企業の進出によって、 DCMを初めとする大手傘下に入るケースが続出していたのです。

 

島忠のTOBに失敗するとDCMは大きなダメージ

 

ホームセンター業界が大きな再編を迎えている中で、 DCM は島忠のTOBに失敗してしまうと大きなダメージを受ける恐れがあります。

現在DCMはケインズを追いかけ業界2位の売り上げですが、 島忠を買収することによって一気に業界トップへと躍り出ます。

今回の島忠買収はDCMにとって経営戦略上大きな意味を有しているものであり、成功しなければホームセンター業界での立ち位置が大きく変わることになるでしょう。

島忠を子会社することができれば、 業界一位のカインズを1500億円と大きく引き離して単独トップの地位を確立することとなり、経営戦略上でも様々なメリットがあります。

しかし失敗してしまえば今までと変わらない業界2位の立ち位置となり、今後の経営戦略を大きく転換する必要に迫られるでしょう。

DCMがニトリとの競争に敗れTOBに失敗した場合は、同じく同業他社であるケーヨーのTOBに切り替えることで業界トップを狙うのではないかといわれています。

 

DCM側はTOB成功が急務 ニトリは失敗してもOK

 

今回紹介したように DCMの島忠に対するTOBは、DCM側からすると必ず成功しなければならないミッションです。

一方でニトリ側としては、島忠の買収に失敗したとしても一般消費者に対する認知度の拡大などをすることができるので成功だといえるでしょう。

最もDCM側としては今後さらに拡大したいであろう日用品部門において、 競合していく可能性のあるニトリがこれをきっかけにさらにシェアを伸ばして行く可能性もあり、今回のTOBは嫌な一手だったのではないでしょうか。

DCMとしてはホームセンター業界でトップに立つため、そしてさらに一般消費者向けにシェアを伸ばしていきたいところを、ニトリに阻まれた形になります。

今後家具業界だけに留まらないニトリの成長と、ホームセンター業界を超えてさらなる成長を図るDCMのTOB合戦がどのようになるか注目です。

 

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