企業のオーナーは多額の報酬を受け取る一方で、国に対して莫大な税金を納めています。
確かに役員報酬を減らすことによって納める税金を減らすことはできますが、所得も減ってしまうので節税という面では対策と言うことはできません。
そこで企業のオーナーとして一番気になるのは、自分が受け取ることができる役員報酬を維持しつつ節税を行うやり方なのではないでしょうか。
そこで今回は企業のオーナーが行うことができる、節税のやり方などについて詳しく解説していきます。
企業のオーナーの主な所得は、役員報酬になります。
そのため節税をするにあたっては「所得税」がどういったものなのか知っておくべきです。
所得税は主に上記のような計算式で求めることができます。
そのため企業のオーナーが対策することができる節税のやり方としては、以下のような手段が考えられるでしょう。
企業のオーナーがまず1番に行うことのできる節税対策は、所得額を減らすということです。
もっとも単純に役員報酬を減らしてしまい、所得額を減らすという方法では手取りが少なくなってしまうのであまりおすすめできません。
そこで以下では手取りを減らさずに、むしろ増やしながら所得税を減らすための方法について解説していきます。
企業のオーナーは会社が持っている社宅に住むことによって、経費の一部分を法人の負担にすることが可能です。
社宅とはそもそも会社が役員や従業員が住むことができる物件を提供して住まわせることになります。
社宅という形になってる以上、その家賃は全て会社が支払うことになり、会社が支払った家賃というのは法人税法上で損金として処理することが可能です。
企業が負担した金額だけ、役員報酬を下げることによって、そこにかかってくる所得税や住民税も下げることができるのでかなりの節税効果を見込むことができます。
法人が借りている社宅に住むというのも、節税を行うにあたっては有効な手段です。
例えば家賃が50万円のマンションを会社で借りているとしましょう。
実際に企業のオーナーがここに住むこととなった場合、所得税法で定められた社宅の負担金が10万円程度だったします。
上記の場合には、50万円のマンションに10万円の自己負担のみで住むことが可能です。
実際に差額の40万円を役員報酬として受け取って、自ら賃貸物件に住んでいる場合には所得税が当たり前のようにかかってしまいます。
40万円分を役員報酬から差し引いて、法人が借りている社宅に10万円の自己負担で住むことにすれば、実質40万円を所得税を払わないで受け取っているのと同じことになるでしょう。
企業のオーナーの方で法人が借りている社宅に住むことができる場合は、自分で賃貸契約などを行うことはせずに、 法人の借り上げ社宅に住むというのも有力な選択肢になります。
企業のオーナーの方にはお馴染みの概念かもしれませんが、損益通算によって節税を行うというのも有効な節税対策の1つです。
損益通算とは、黒地の所得と赤字の所得を合計して計算することによって、合計の所得を帳簿上で減らすということを指します。
例えば1000の黒字所得があり、700の赤字所得があった場合に、1000に対しての税金を支払うのではなく、両方を合算した300の所得に対して税金を支払うという仕組みが損益通算です。
損益通算を利用した有効的な節税対策は、以下のようなものがあります。
上記のどの方法も、基本的には一時的に赤字を出すことで節税を狙うということはもちろんのこと、 将来的に収益を黒字に転化させる見込みのあるものばかりです。
例えば新規事業を立ち上げる事や開業することによって、一時的には様々な準備などで赤字になってしまいますが、一方で将来的に黒字に転化する可能性もあります。
黒字に転化するまでは税金対策として個人事業として行い、黒字に転化してからは事業場等を行い資金を回収するという方法も取れるのでおすすめの方法です。
所得に対して所得税率をかける前に所得から差し引くことができる項目のことを所得控除といいます。
役員報酬で得た所得に対して所得控除の金額が大きければ大きいほど、所得税を節税することができるのでこの制度を活用しない理由はありません。
そこで以下では今日からでも使える所得控除の制度について紹介していきます。
企業のオーナーの方の場合、国民年金と厚生年金に加入している方がほとんどだとは思いますが、これに加えて確定拠出年金を利用することで所得控除をすることができます。
確定拠出年金は、 将来の年金額が確定していなかったり管理コストはかかってしまうなどのデメリットもありますが、節税といった面ではかなり優秀な制度です。
まず確定拠出年金に対する掛金は全額が所得控除の対象になります。
また確定拠出年金によって運用された運用利益は所得税が非課税になり、年金は退職所得扱いになるので課税されないという点も節税という面では大きなメリットといえるでしょう。
将来のために生命保険などの様々な保険に加入している方も多いのではないでしょうか。
こういった保険料は一定額の上限はありますが、所得控除の対象となります。
生命保険の場合には1年間で8万円までが上限となっていますが、この他にも介護保険や年金保険など様々な保険と組み合わせることができることはご存知でしょうか。
それぞれの保険に対する上限額は少なかったとしても、様々な保険を組み合わせて入っておくことによって、所得控除を計ることができるのでおすすめです。
「小規模企業共済」という小規模事業を行っている方に向けて、退職金・年金を積み立てる制度があります。
もっともこの制度は小規模事業者に対しての制度となっているので、加入に際しての条件があるので注意が必要です。
【小規模企業共済制度の加入条件】
小規模企業共済の掛け金は全て所得控除となるので、毎月最大7万円の将来のための積立を所得控除の対象として利用することができます。
事業規模が小さい会社のオーナーの方は、必ず利用すべき制度であること間違いありません。
企業オーナーが役員報酬なので所得を得る場合に、所得に応じて税率が変わるものと、税率が一律に適用されるものがあります。
所得の金額によって税率が変化するというものに対しては、上記で紹介した所得を減らすための節税対策を行えば税率も下がります。
一方で税率が一律に適用されるものに対しては、できるだけ税率が低くなるように低い所得区分で受け取ることによって納税額を減らすことが重要です。
退職金は節税効果が高い費用です。
退職する人の月額報酬額が高い場合か、勤続年数が長ければ長いほど、高い金額の退職金の支払いが認められ、もらった個人の税金も少なく算定されるようになっています。
退職金が優遇されている点は、以下のようになっています。
退職金は、株主総会の決議があれば未払計上によっても損金に計上することが可能なので、支払うためのお金がなかったとしても、損金処理をすることができます。
節税対策には、税額控除を利用するというのも効果的です。
節税対策には、住宅借入金等特別控除を利用するのも効果的です。
この制度は、居住者が住宅を取得した際に、ローンの残りの一部を一定期間所得税額から控除するという制度になります。
おおよそ7年から15年といった期間、所得税額を控除することができるので、節税対策には効果的です。
最も住宅ローン控除を受けることができる資格があり、年度の合計所得金額が3,000万円以下でなければいけないというものになります。
役員報酬が高額であると、資格が失われてしまう可能性があるので注意が必要です。
役員報酬の合計を今回紹介したやり方でできるだけ低くして、所得金額が3,000万円以下になるよう調整してから利用するようにしましょう。
また住宅ローンの控除額の上限額が設定されており、現在は上限額は40万円に設定されています。
オペレーティングリースは、節税対策の中でも効果の高いものとして知られています。
どういった仕組みに基づいて、節税効果を狙うことができるのでしょうか。
オペレーティングリースとは、船舶・航空機・ヘリコプターなど様々なものをリースするというものです。
オペレーティングリースは以下の流れで行われます。
航空機や船舶は匿名組合で資産を計上することになります。
減価償却は匿名組合で行われることになるので、匿名組合では事業共用初年度から数年は減価償却費が大きく計上されることになるのです。
この減価償却費用は、リース先の会社から受け取る収入よりも大きくなるので、匿名組合は一時的に赤字となります。
匿名組合の出資は金融商品として取り扱われることになるので、匿名組合の損失が自社の損益計算書に計上することができるので、そのぶん利益が減少することで節税の効果が期待できるということです。
オペレーティングリースを行った際の、匿名組合側での減価償却費は年々計上額が減少していきます。
年々計上額が減少することによって、徐々にリース料収入が上回っていくことになり、何年後かには出資者側で評価損を計上することはなくなるのです。
リース期間が満了になると匿名組合は航空機や船舶といったリース資産を売却することになります。
売却によって得られた大家は出資者へ分配することになりますが、出資者側ではこの分配金を収益として計上しなければいけません。
出資金額が大きければ大きいほど最後の分配金も大きくなるので注意が必要になります。
今回は企業オーナーのための節税の方法について解説してきました。
従来から利用されているものはもちろんのこと、オペレーティングリースといった近年流行の方法まで紹介しています。
特に企業オーナーは所得税が悩みの種になることが多いので、今回紹介した方法を前提に、自分が利用することができる節税対策なのか判断してみましょう。