毎年夏と冬に支払われることの多い「賞与」いわゆるボーナスは、働いてる人にとっては楽しみなものの1つです。
年に2回もらうこの賞与ですが、いったいどのような基準で決められているのか、また東京や地方で、額が違ってくるのか気になった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、日本に多く存在する各企業が賞与をどのように出しているのか、決め方の基準についてや東京と地方の違いについて詳しく解説していきます。
賞与(=ボーナス)とは、固定で賃金を支払っている従業員に対して、毎月の給料とは別に支給する給与のことになります。
賞与の他に、ボーナスや特別手当といった名称が各企業で使われているのも特徴です。
賞与は、支払わなければいけない時期や回数というのは特別定められてはいないので、支給されない企業や年に何回も支払いが行われるところもあります。
日本では、夏と冬の2回に分けて賞与が支払われるイメージがありますが、欧米諸国ではこういった制度は取っていません。
欧米諸国では、賞与に関しては通常の業務の中で目を見張るくらいの業績をあげたものに対して特別に支払われる「一時的なお金」というイメージがほとんど。
そのため、近年では日本の企業でも秀でた業績を社員に対して特別にお金を支給するというところも増えつつあります。
上記でも少し触れた通り賞与については、支給することを法律で定められていないため、 出し方の基準も企業によってまちまちです。
もっともほとんどの企業では、賞与の額を「給料の〜ヶ月分」といったように定めているところが多くなっています。
ここでの給料については、年間を通じての総支給額ではなく「基本給の〜ヶ月分」というものを指しているので、注意が必要です。
基本給とは、企業が従業員に支払う基本的な賃金のことであり、支給される総額から様々な手当などを差し引いたものになります。
こういった様々な要素を考慮して、従業員に対して支払う基本給を定めることになります。
従業員はボーナス支払いなのでローンを組んだりすることがあるので、金額がどのくらいなのかというのを正確に知りたがる人は多いので、しっかりと就業規則や労働契約に明記しておくことが重要です。
みずほ総合研究所が発表した2020年冬季ボーナス予測によると、 民間企業の賞与平均額は「35万円」になっています。
もっとも2020年冬季は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、会社の業績が悪化しているというところが多くそもそも賞与が支払われないというところも多かったようです。
以下は、みずほ総合研究所が発表した2020年冬季ボーナスのデータに基づいて、賞与の金額と割合をまとめたものになります。
(なお賞与に関する調査は、業種・企業規模問わず調査したもの)
金額 | 割合 |
10万円未満 | 6.8% |
10万円から20万円未満 | 18.1% |
20万円から30万円未満 | 23.6% |
30万円から40万円未満 | 14.1% |
40万円から50万円未満 | 12% |
50万円から60万円未満 | 11.4% |
60万円から70万円未満 | 4.7% |
70万円から80万円未満 | 4.1% |
80万円から90万円未満 | 1.4% |
90万円から100万円未満 | 2.0 PC |
100万円以上 | 1.9% |
参考: みずほ総合研究所発表 2020年冬季ボーナス予測 URL https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp201116.pdf
このように見ると、 賞与の平均額は10万円から40万円の人が約5割となっており、一般的なものとなっているのが分かります。
民間企業の賞与では、地方の格差の現状を正確に認識することはできません。
そこで、公務員の賞与から地方格差がどれくらいあるのかというのを見ていきましょう。
以下は総務省が発表した地方公務員の年収データから、都道府県別の平均賞与を表にしたものです。
【地方公務員の平均賞与 上位10位まで】
順位 | 都道府県 | 賞与・ボーナス |
1位 | 東京都 | 182万5100円 |
2位 | 大阪府 | 177万7200円 |
3位 | 広島県 | 176万5100円 |
4位 | 三重県 | 175万9700円 |
5位 | 兵庫県 | 174万8500円 |
6位 | 神奈川県 | 174万8500円 |
7位 | 茨城県 | 174万5500円 |
8位 | 静岡県 | 173万4800 円 |
9位 | 愛知県 | 173万4400円 |
10位 | 山梨県 | 171万8800 円 |
上位10位までに続いて、48都道府県の中で下位の10県を見てみましょう。
【地方公務員の平均賞与 下位10件】
順位 | 都道府県 | 賞与・ボーナス |
38位 | 佐賀県 | 157万4000円 |
39位 | 岩手県 | 156万5100円 |
40位 | 宮崎県 | 154万400円 |
41位 | 鹿児島県 | 153万3000円 |
42位 | 秋田県 | 152万8900円 |
43位 | 島根県 | 147万3100円 |
44位 | 沖縄県 | 146万100円 |
45位 | 青森県 | 144万8100円 |
46位 | 高知県 | 144万4200円 |
47位 | 鳥取県 | 139万5300円 |
参考資料:総務省 給与・定員等の調査結果など
URL:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/teiin-kyuuyo02.html
このように見ると、トップの東京都が182万5100円という金額なのに対して、最下位の鳥取県は139万5300円と約50万円近くの差があります。
また上位を占めている都道府県は、ほとんどが都市部であるのも特徴です。
東京都や大阪府といった中心地はもちろんのこと、広島や神奈川、愛知といった中心都市が賞与の上位を占めています。
上記で紹介したように、地方公務員の場合でも都市部と地方では賞与の差が大きいこともあり、いわゆる地方格差というのは確実に存在することがわかります。
また民間企業の場合でも、 総務省統計局による都道府県の賞与支給事業所数及び賞与1回あたりの平均額を分析してみると、地方格差がはっきりと明確化しています。
確かに企業によっては、地方でも賞与をしっかりと支給しているところもありますが、 そういったところはあまり多くはありません。
基本的に東京や大阪といった主要都市と比較すると、他の地方に属する県の賞与平均額は約10〜30万円程度存在します。
そのため民間企業でも、地方公務員と同じような賞与の格差があると推察することができるでしょう。
もっとも単純に地方と都市部で、賞与や賃金の格差があると断言することもできません。
なぜなら、地方では物価や家賃などが都市部と比較すると著しく異なる場合がほとんどだからです。
賞与や賃金がおよそ30万円近く差があったとしても、都市部で生活するのに必要なお金はかなり必要となってくるので、賞与や賃金の差が直結して格差に繋がるとはいえないでしょう。
上記で紹介したのは、平均的な都市部と地方の賞与の格差についてですが、業種別に見るとそこまで差がないところも多くあるのです。
厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査によると、都市部から離れた地方の県でも金融や機械、インフラ・化学関係の賞与は高い水準にあることがわかります。
特にインフラや化学、機械といった業種は、むしろ地方に工場や研究所が位置していることが多いのが理由の1つなのではないかと推察することができるでしょう。
一方で著しく都市部と格差があるのが、飲食や宿泊業などサービス業に位置する業種です。
都市部では需要が多いため飲食や宿泊業などでも、正社員などが働いているという形式が大多数ですが、地方はそうではありません。
地方は飲食や宿泊業については、そこまで需要が高くないため、パートやアルバイトなどの非正規社員であるというケースがほとんどになります。
そのため賞与や賃金といった面で、大きく格差が生まれてしまう結果になっているのではないでしょうか。
参考資料 厚生労働省 賃金構造基本統計調査 都道府県別
URL:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001113395&tclass2=000001113397&tclass3=000001113406&stat_infid=000031683187&tclass4val=0
本記事では、賞与とはどういったものか、どのような基準で額を定めているのかという基本的なところから、都道府県別の賞与の格差まで詳しく解説してきました。
地方公務員の平均賞与や、民間企業の賞与の額から見ても都市部と地方では大きな格差があることがわかります。
また今回紹介したデータに基づくと、都市部と地方の格差というのは、公務員や民間企業問わず存在していることが分かったのではないでしょうか。
特に飲食や宿泊業などを含むサービス業では、地方と都市部では大きく格差があり、これでは今後も地方から都市部へと人材が流れてしまい、過疎化が進んでしまうことは止めることができないでしょう。
過疎化が加速してしまい、これ以上人手不足が進んでしまうと、業種によってはもはや成田ないところも出てくる可能性があります。
賞与というお金という側面から分析しても、都市部と地方では大きな格差や違いがあることが分かりました。
今後就職や事業を新しく始めようと考えている方は、今回紹介したように賞与や賃金といった面から、選択を行うというのも1つの手かもしれません。