日本の企業は創業年数が100年以上を超える老舗企業が多いと言われています。
実際に世界の創業100年以上を誇っている企業の中で、その半数近くが日本企業であると言われており、創業200年以上の企業に至っては65%以上が日本企業です。
世界で最も百年企業が多いのは日本の3万7076社がトップであり、2位アメリカの約2倍近くもあるというのはご存知でしょうか。
このように日本には、長い歴史を誇る老舗企業が様々な業界に数多くあるのが特徴です。
しかし古くから日本の経済を支え発展に貢献してきたにもかかわらず、あまり知られていない老舗企業も多くあります。
今回の記事では、日本の大阪・京都と並ぶ関西地区の都市「神戸」の老舗企業について詳しく紹介。
歴史が古い順から、現在どのような企業が存在しているのか見ていきましょう。
神栄株式会社は、神戸市に拠点を置いている、衣料・食品・物資・電子製品の輸出入や開発を行っている商社です。
1887年に設立されてから、およそ3世紀にわたって神戸の経済を支えてきた歴史ある企業になります。
元々は、明治時代に横浜にて独占で取引が行われていた生糸市場を、兵庫の地にて新たに行うため創設された企業です。
現在は、人々の暮らしと社会の発展に貢献する企業グループを目指して、様々な価値を日本に提供しています。
特に「食品・物資・繊維・電子」という幅広い分野で、様々な独自性のある商品を展開しており、商品開発からものづくりをしっかりと行うことによって、企業として優れた利益を残しているのが特徴です。
2020年では、世界中で新型コロナウイルス感染拡大という経済的に大きな打撃を与える要因があったものの、コンデンサ分野などで優れた売上を見せて、昨年度と変わらない利益をあげ老舗企業としての強さを見せた印象です。
一方で、食品・繊維関連部門では、新型コロナウイルスの影響を直に受けてしまい、繊維部門で昨年度から29%減、食品部門で昨年度から16.2%売上を減らしてしまう形になってしまいました。
神戸の老舗企業で、2番目に歴史が古い企業は川崎重工業株式会社です。
古くは明治時代1896年に設立されてから現在まで、日本の近現代における産業を支え続けた老舗企業になります。
元々は東京築地の川崎築地造船所から生まれた企業であり、現在では様々な重機械を生産しているのが特徴です。
川崎重工業が現在取り扱っている主要な製品・事業は、以下の通りになります。
この他にも、現在では自衛隊が取り扱っている航空機や潜水艦、ミサイルといったものも製造しているのが川崎重工業であり、日本の経済だけではなく国防も担っている重要な企業の一つであることは間違いないでしょう。
防衛などに関する製品の生産については、現在日本第1位であり、世界でも28位に入っているほどです。
日本だけではなく「世界の人々の豊かな生活と生活環境の未来に貢献する企業」を目指しており、近年社会が敏感になっている地球環境に対して配慮を行いながら、新たな価値を創造することをグループの命題として掲げています。
神戸で3番目に古い老舗企業は、株式会社神戸製鋼所になります。
1905年に創立されてから現在まで、日本の鉄鋼部門を支え続けてきた老舗企業であり、現在では様々な事業を展開しているのが特徴。
神戸「製鋼」という会社の名前から、製鋼業が一番の主要部門だと思われがちですが、現在では素材・機械・電力という3つの部門を経営の柱としています。
そのため上記三つの部門よりも、現在では製鋼の比率が低くなっていることはあまり知られておりません。
特に電力部門では、国内での電力卸供給事業として最大規模を誇っています。
また主力としている素材部門では「鉄鋼・アルミ・銅・接合ソリューション」における高い技術を有している神戸製鋼において大きな追い風となっており、今後より飛躍する可能性があるといえるでしょう。
他にも将来的な市場拡大が有力視されている、圧縮機事業や水素ビジネスにおいても力を入れており、電力という安定収益基盤を有した強みを活かしつつ、様々な新しい分野に挑戦しているのが印象的です。
神戸で4番目に古い老舗企業は、株式会社ノザワです。
株式会社ノザワは、1897年に染色のための染料などを輸入する企業としてその歴史をスタートさせました。
その後製造業に大きく舵を取り、セメント建材に力を入れ始めてから、企業として大きく飛躍を遂げたのが大きな特徴です。
現在では、主にセメントに関する製品を製造しており、一般建設・住宅・土木・農業といった幅広い分野におけて使用されるセメントを日本中に供給しています。
建設に関するセメントでは、安定的な商品供給によって強固な経営基盤を誇っており、これをもとに様々な研究開発も重ねているのが現在のノザワです。
このようにセメント分野では、高い技術力を誇っており、品質・納期・コストといった点で絶対的な優位性を保ちながら、オンリーワンの企業として活躍。
また環境保全を念頭に置いた次世代事業の創設にも力を入れており、企業の発展だけではなく社会貢献も視野に入れた様々な活動を行っているのも印象的です。
神戸で5番目に古い老舗企業は、ビオフェルミン製薬株式会社です。
1917年に設立されてから、常に乳酸菌整腸薬であるビオフェルミンを経営の基盤としており、長く経営を安定的に成長させています。
現在取り扱っている主な製品は、以下のようなものが代表的です。
特にビオフェルミンは、乳酸菌由来の整腸薬であり、大人のみならず薬の影響を受けやすい赤ちゃんでも服用しやすいという特徴のため、長く愛されています。
「乳酸菌の薬でお腹の健康を守り全ての人が健やかに暮らせる社会に貢献する」ということを創業以来一貫としている理念に掲げており、ビオフェルミンという製品ひとつで日本の代表的な医薬会社に上り詰めたのは、驚異的だと言うことができるでしょう。
神戸の老舗企業として6番目に位置しているのは、住友ゴム工業株式会社です。
1917年に設立されてから、住友グループの企業として日本のゴム製品分野を支え続けてきました。
タイヤなどの製造販売を主な事業内容としており、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう「ダンロップ・ファルケン」などが主力製品になっています。
特にタイヤに関しては、世界を相手に古くから事業を展開しており、ドイツのコンチネンタルに続き世界第5位の企業として、世界にも名が知られているのが特徴です。
高いゴムの加工技術を活かして、人工芝や医療用精密ゴム部品、ゴム手袋など産業用事業に関する商品も数々を提供しています。
産業用事業に関する商品は、制震ダンパーという震災の被害を減らす商品も提供しており、地震の多い日本で被害を減らす貢献もしているのが印象的です。
タイヤだけではなくスポーツ事業にも力を入れており、ゴルフクラブやテニスラケットなど高性能な製品を提供しているため、利用していた経験のある方も多いのではないでしょうか。
神戸の老舗企業として7番目に位置しているのが、阪神内燃機工業です。
阪神内燃機工業は、1918年に設立された神戸に本拠を置いている船用機関(ディーゼルエンジン)メーカーになります。
1918年に設立されて以来、船舶用のエンジンを中心に船舶推進プラントの総合メーカーとして、独自の技術を活かしながら日本の経済を支えてきました。
創業以来、社会に貢献するもの作りというのを原点として、多様な需要に応えるための製品開発などを心がけているのが阪神内燃機工業という企業になります。
近年では、その理念に基づいて、船舶用エンジンの技術をより進化させて、燃費低減を図った新しい電子制御機関をリリースし、製品ラインナップを豊富にしているのが印象的です。
世界中でも敏感になっている環境問題にも対応するエンジンを開発しており、重油燃料ではなくガス燃料で動く地球環境に優しいエンジンを開発しました。
2018年には創立100周年を迎えており、次の100年をより成長して送ることができるように、新しく中期経営計画などをスタートさせ、企業として充実した動きを見せています。
神戸の老舗企業第8位は、川西倉庫株式会社です。
川西倉庫株式会社は、1918年に設立された倉庫会社であり、倉庫に関する事業を中心に物流に関する業務など幅広く行なっているのが特徴になります。
こういった業務を中心に、生産と消費を効率よく結びつける総合物流サービスを主に提供しています。
近年では配送などがより重要になってきているため、日本の物流を支える企業の一つとして、さらに影響力を増してきているといえるでしょう。
物流に関する業務という安定した経営基盤を元に、最近では既存事業における利益率をより改善する動きを見せています。
そのため既存事業の拡大強化成長はもちろんのこと、戦略的な投資家社内体制の強化も活発に行っているのが印象的です。
日和産業株式会社は、神戸で9番目に古い歴史をもつ老舗企業になります。
1924年に設立されて、日本で最初の配合飼料の製造をおこなったとされている企業であり、現在でも配合飼料を中心に事業を展開しているのが特徴です。
日本でも早い段階から「健康で安全」な食を達成するために、こだわり抜いた肥料を作っている企業であり、日本の食の安全を守ってきた企業ということができるでしょう。
食の安全に不安を感じているという日本の消費者は、約8割に達すると言われており、近年では食材の原産地だけではなくどういったものを口にしていたのかまで気を配る時代になっています。
そういった中で日和産業は、健康で安心安全な肥料を提供し続けており、食に関する関心がこれまで以上に高まる場合には、今後より注目を浴びる可能性があるかもしれません。
神戸で10番目に古い老舗企業が、神戸電鉄株式会社です。
有名な阪急阪神ホールディングスの鉄道会社でもあり、1926年に設立されてから、関西地区を支える企業として長く愛されてきました。
鉄道関係だけではなく、不動産やまちづくり、生活に根付くサービスを提供していることでも知られており、神戸だけではなく関西地区に根付いた地元密着型の企業ということができるでしょう 。
近年神戸電鉄が主に力を入れている事業は、以下の通りです。
今回は地域別老舗企業の神戸編を詳しく紹介してきました。
神戸の老舗企業は、誰もが知っているような有名企業もあれば、あまり知られていませんが日本の経済発展を支えてきた重要な企業まで、様々な種類の企業が存在していることが分かったのではないでしょうか。
特に老舗企業というのは、あまり有名ではありませんが、地元に根付き思わぬサービスを提供しているというところも少なくありません。
本連載では日本各地の地域別老舗企業を探ると共に、地域ごとにどういった老舗企業が存在しているのかも明らかにしていきたいと思います。