大企業の多くは日本の中心である東京に集中しているために、大きな取引先を確保することができなかったり、 地方の経済状況の悪化によって、東京へ進出することが急務である企業も多いのではないでしょうか。
様々な地方にある老舗企業にとっても、東京に進出し成功するというのは、今後生き残っていく上でも重要な課題になってきます。
そこで本記事では、東京に進出したことによって成功した老舗企業を紹介。
なぜ地方の老舗企業が東京に進出するのかという理由から、進出することによって得られる様々なメリットまで基本的なところから紹介し、それぞれの老舗企業がどのように東京進出に成功したかについて詳しく解説していきます。
地方で事業を営んできた老舗企業も、日本の情勢の変化によって、東京進出を検討することが多くなってきました。
そこには様々な時代背景が理由としてあるので、以下で詳しく見ていきましょう。
地方だけではなく日本全体として、少しずつ景気悪化が進んでいるのが事実です。
これによって地方企業としても業績を維持するのが困難であるところが多く、若者人口が都市部へと移動し過疎化が加速しています。
人口が少なくなってしまえば、そのぶん地方の経済も縮小されてしまうので、結果的に企業としても業績を上げることが困難です。
ただでさえ人口が少なくなり過疎化が加速している地方において、大手企業が続々と地方進出を果たしているのも特徴的です。
大手企業の地方進出によって、これまで地方で主に活動していた老舗企業も競争が激しくなっているのが現状になります。
そのため地方だけでは企業として存続することが難しく、人口が多く市場としても規模が大きい東京に進出する必要があるといえるでしょう。
地方からどんどん人が出て行くことによって、企業として人材採用が難しくなっているという点も指摘することができます。
進学・就職といった節目ごとに若い人材が東京へと出て行くことが多いので、企業としても東京にあったほうが、優秀な人材を採用することができる確率が高まるのが事実です。
地方の老舗企業がなぜ東京進出するかについて述べてきましたが、それに加えて東京進出することによって得られる様々なメリットがあります。
日本の中心である東京には、ほとんどの大企業が集まっているので、大きな取引先を獲得できる確率が高まります。
地方に所在していたままだと接することができなかったような大手企業とも、東京に進出することで取引することができる可能性もあるでしょう。
地方とは異なり多くの人が東京に住んでいるので、見込み客が多いというのも大きな違いになります。
今まででは需要がなかったような商品やサービスであっても、見込み客が多い東京だと顧客になってくれる確率も高まるでしょう。
オンラインが普及して場所を問わず働けることができるようになったとはいえ、営業や商談で顔を合わせて話すというのは重要になります。
地方に所在していた際には営業や商談ができなかった企業でも、東京に進出することによって容易にやり取りをすることが可能です。
そのため新規顧客を獲得するために東京へ進出するというのも、企業の老舗企業として考えられる1つの選択肢となるでしょう。
インターネット技術が発達したとはいえ、業界のトレンドなど最先端のものが広まっているのも東京の特徴です。
そのため東京に拠点を置くことによって、トレンドを掴んだ最先端の営業をかけることが可能になります。
従来地方で一足遅く入ってきたトレンドに関する情報であったとしても、東京にいればそういったことを逃すことがないでしょう。
今まで逃してしまったようなビジネスチャンスも、東京に進出することで掴むことができるのは、大きなメリットと言えます。
実際に東京に進出したことで成功した、老舗企業の具体例について見てみましょう。
平田牧場は、1967年に創設された山形県に本社を置く畜産や食肉加工販売を行う地上になります。
後は養豚業などを営んでいた企業でしたが、 2002年に外食産業へと進出したことをきっかけに、地元山形の酒田市で長年レストラン業を営んでいました。
近年では東京都内にもいくつかの店舗を展開しており、東京に進出したことで成功した老舗企業の1つです。
「平田牧場三元豚」「平田牧場金華豚」というブランド肉を手がけており、単一の豚肉としては現在では日本で最も出荷頭数が多い企業でもあります。
東京に進出したことがきっかけで、 地元では有名だったブランド豚肉を周知させることに成功したと言えるでしょう。
東京での店舗では、ブランド肉である豚肉と地元山形のお米を生かして成功を収めており、
昼はサラリーマンや OL のランチの場として、 夜は接待や会食で利用されており、競合の強い外食産業の中でも生き残っているのは特筆すべき点と言えます。
東京でも大手チェーン店などで競争が激しいカフェ業界に、地方老舗企業として参戦したのがサザコーヒーになります。
茨城県に本店があるサザコーヒーは、品質の高いコーヒーにこだわり続け、南米コロンビアに「サザ農園」という直営農園を持っている地方老舗企業です。
珈琲職人として最高峰であるバリスタの国内選手権「ジャパンバリスタチャンピオンシップ」の決勝に進出した半分がサザコーヒーの社員だったこともあるほど、コーヒーにはこだわりがある企業になります。
従来は茨城県のカフェショップとして店舗を展開していましたが、2005年に品川駅に出店して以来東京都内に3店舗展開するなど、地方から東京に進出成功した企業の1つと言えるでしょう。
茨城県内で営業していた際にはコーヒーだけの提供でしたが、東京に出店するにあたってお酒のドリンクメニューだのも充実させることに着手。
東京駅前という場所から、新幹線や特急乗車時に車中で飲めるようなアルコールドリンクを用意することで、大手コーヒーチェーン店などと差別化することに成功しました。
松井建設は、日本国内の上場企業としては最も歴史の古い会社として知られており、社寺建築における高い技術力と実績がある老舗企業になります。
松井建設はもともと富山県で事業を行っておりましたが、1923年に起きた関東大震災をきっかけに東京進出。
震災に見舞われた帝都の復興が、松井建設並びに建設業者としての課せられた使命なのではないかと感じたことをきっかけに、東京進出を決めたとされています。
現在では日本各地に営業所を構えており、建設業者の大手老舗企業としても知られており、震災というマイナスな要素をきっかけに東京進出を決めたという、珍しい例とも言えるでしょう。
1953年に瓦屋根の専門工事業者として創業された「柴田商事」は、長年福井県で事業を展開していた老舗企業になります。
創業地から事業の柱として行なってきた屋根工事の技術を活かすことで、2009年から住宅用屋根太陽光発電事業も行なっていました。
2017年から東京に進出しており、環境問題に注目が集まる中で、再生可能なエネルギーとして住宅用屋根太陽光発電事業を東京で積極的に普及しています。
またローコストの住宅やリフォーム事業などの需要が年々増加していることも後押しとなって、 東京進出することで多くの顧客を獲得することに繋がったことも大きな特徴です。
時流を見極めて、自社が東京進出に適しているかどうか判断するということも、東京進出成功の鍵を握る1つといえるでしょう。
地方にある老舗企業であったとしても、長い歴史で培った伝統や文化、食材などを生かして、東京進出を成功させることができる可能性は大いにあります。
インターネットを通じて様々な製品やサービスを、どこからでも活用できるようになった時代ですが、それでも東京で事業を営むということは大きなメリットがいくつもあると言えるでしょう。
もっとも東京進出にあたって、企業として不安な点がいくつも存在するのは否めません。
こういった問題を解決しながら、いかに地方にある老舗企業が東京へ進出して、成功を収めるかということも今後の注目ポイントとなってくるでしょう。