日本では少子高齢化が加速度的に進んでおり、総人口の減少・高齢者を支える労働世代への過度な負担・平均寿命の増進などが予測されています。
そんな中でどの企業でも後継者を確保し育成するということが、年を追うごとに難しくなっていることは想像に難くありません。
特に老舗企業では縮小する日本のマーケットだけではなく世界市場にも目を向けていく必要があり、後継者のグローバル教育をどのように行うべきかというのは現経営者の悩みの種でもあるでしょう。
そこで今回は老舗企業の後継者のグローバル教育は、どのようなことを行うべきかに焦点を当てて詳しく解説していきたいと思います。
グローバル教育とはそもそもどういった内容なのかご存知でしょうか?
単純に留学させることや語学を学ばせるということではありません。そこでグローバル教育とはなにかについて詳しく解説していきます。
グローバル教育というと世界でも一番使われている英語や中国語などの多言語を学ばせることが目的なのではないかと考える人も多いようですが、実は微妙に異なっています。
確かに何十年前のグローバル教育というと、英語を学ぶことが念頭に置かれて語られていましたが、そもそも現在では高校卒業時点である程度英語は使えるようになっているのが日本の義務教育の状態です。
そのため英語は使えることが当たり前であることが前提で「広く地球全体の目線で考えられる人材を育てること」がグローバル教育の現在の定義です。
広く地球全体の目線ということはどういうことなのでしょうか?
地球規模での思考ができる人材というのは、幅広い人々が住んでいる地球上での地域社会・人権・平和・異文化コミュニケーションでの物事を考えることができる人物のことを指します。
現在ではIT技術の発達で遠い異国の地でも現地に行くことなく、PCやスマートフォンを通じてビジネスを始めることが可能な世界です。
そのため日常的な日本という国だけでなく、他の国の文化や特徴を理解しつつ、柔軟なコミュニケーションを取れることができなければ活躍できなくなっています。
現在のグローバル教育では、地球という大きな範囲で物事を考えて、相手の文化を尊重し認め合いながらコミュニケーションをとることができる人物を育てなければいけません。
老舗企業の後継者育成のためのグローバル教育という点では、日本という国に限定することなく、世界・地球規模での目線を持って考えることができる人材を育成することが最終的な目標になるでしょう。
ここからは老舗企業において後継者のグローバル教育をどのように行っていけばいいのか解説していきます。
後継者のためのグローバル教育は、地球・世界規模で物事を考えることができる人材を育成することができる人材を育てるのが最終的な目標です。
そのためにはどういった教育を後継者に行っていくのが最適なのでしょうか?
グローバル教育において語学は必須事項です。
現代社会ではテクノロジー技術の発達が目覚ましいものとなっており、同時翻訳アプリやGoogle翻訳など様々なツールが利用できるようになっているので、語学を学ぶ必要は無いようにも考えられます。
しかしグローバル人材には、柔軟なコミュニケーションが必要不可欠です。柔軟なコミュニケーションには、表現の細かいニュアンスなども理解できる語学能力は必要不可欠でしょう。
後継者にグローバル教育を施すには、まず語学教育を行い様々な国の人とコミュニケーションをとることができるような人材に育成することで、後継者が企業を継いだ時将来ビジネスの幅が広がるかもしれません。
アメリカを中心とする欧米社会では、勉強以外の経験が豊富な人材が好まれます。
大学に入学する際には、試験の点数だけではなくボランティア活動や学校以外で活躍した経歴を重視されるのです。
日本のように試験だけで合格が決まるのではなく、勉強がある程度できることは当たり前であり、それ以上に他の分野で活躍している人物がグローバルな活躍をすることができると考えられているからでしょう。
日本では中学・高校と閉ざされたコミュニティで生活をし、大学に入学することが求められますが、欧米社会では様々な国・背景を持った人々が同じ場で学ぶことを求められます。
世界というグローバルな舞台で多種多様な人々と交流を持つことで、自分とは全く違った文化を持つ人と上手く交流していくことを学生生活の間から学ぶのです。
そういった人々に遅れを取らないためにも、後継者には勉強以外の経験を施す教育を行いましょう。
老舗企業を後継者が継ぐためには、すぐにでも企業の中に入れて経験を積ませることが重要に思う方も多いのではないでしょうか。
確かに早くに経験を積ませて、経営者としての自覚を与えることは重要です。しかしそれだけではグローバルな人材になることはできないでしょう。
老舗企業として今後日本だけではなく世界に目を向けて経営を行っていきたいのであれば、後継者に海外企業での就業経験を与えましょう。
日本の企業でもそれぞれ会社ごとの働き方や文化が違います。日本は単一民族国家なので、あまり大きな違いはないかもしれませんが海外企業となると、日本以上のギャップがあることは想像に難くありません。
そのため老舗企業の後継者として、すぐに働き始めるのではなくまず若いうちに海外企業での就業経験を与えて、海外の人々がどのように働いているのかを実際に経験することがグローバル人材になるには欠かせないでしょう。
今回見てきたように、グローバル教育は義務教育とは全く異なるものです。
現在の日本の義務教育は、残念ながら大学入試に合格するためのものとなってしまっており、学生が終わりビジネスの場に出てから役立つ知識・教養は学ぶことができないのが事実です。
そのため後継者に対してグローバル教育を施したいのであれば、日本の義務教育にはない視点で物事を考える必要があるでしょう。
グローバル教育の目標である「世界・国家規模で考えることができる人材を育てる」ということには何が必要なのかを考えて、必要な教育を行っていくことが後継者教育には重要です。
この点さえ抑えることができれば、無駄な語学留学など行かなくてもグローバル人材に育てることは十分可能になります。
少子高齢化が進み後継者の確保さえ難しくなってくる日本で、後継者の教育というのは今後老舗企業にとって1番の投資になるでしょう。