老舗企業がマーケティングを取り入れる必要性とは

「マーケティング」

よく使われる言葉ですが、実はあまり明確な定義が共有されていない言葉でもあります。
特に良いモノやサービスを作って売ってきた、歴史のある老舗企業では重要視されていない言葉かもしれません。

すべてが目まぐるしく変化していく時代になり、老舗企業と言えど、良いモノを作れば売れるという時代は終焉を迎えています。

本稿では老舗企業が更に持続・発展していくために重要になってくる、マーケティングについて考察をしていきます。

 

マーケティングとWebマーケティング

 

様々な組織がマーケティングの定義を発表していますが、ここでは最も簡潔な、グロービス大学院の定義をご紹介しておきます。

マーケティングとは、顧客満足を軸に「売れる仕組み」を考える活動

一昔前は、リサーチの部分だけを指してマーケティングと言われることもしばしばありましたが、なにかしらの一部分というよりは、企業活動全体を考えていくのがマーケティングになります。

そして現代のマーケティングはその大部分がWebマーケティング。つまりインターネットをフル活用して行う活動になります。

1990年代後半から現在にかけて急速に普及したインターネットは人々の購買行動を大きく買えました。

インターネット以前はマーケティング手法といえば、作ったモノやサービスをテレビCMや展示会、DMや雑誌と言った媒体で宣伝して買ってもらっていたわけですが、現代は大部分がインターネット上の活動に置き換わっていますし、製品の作り方すら変わってきています。

Webマーケティングは効果が数字ではっきり現れる世界ですので、ユーザーがなにを好むのかを細かく把握することが出来ます。作ったものを売りに行くプロダクト・アウトから、売れるものを作るマーケット・イン手法が取りやすくなったわけです。

なにを売るにしても、これからの時代Webマーケティングは非常に重要になってくることに疑問の余地はありません。

 

老舗企業がWebマーケティングを取り入れる必要性

 

老舗企業とWebマーケティングと聞くと一見マッチしないものに見えるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ老舗企業が持つリソースにWebマーケティングをかけ合わせることで爆発的な成長が起こることも期待できます。

つい最近起きた、少し極端な例をご紹介しましょう。

島根県の老舗醤油屋さんであるやすもと醤油(安本産業株式会社)。創業1885年の紛れもない老舗企業ですが、この会社が2020年6月から、Webマーケティングの一環として、twitterをはじめました。

既存の社員が普段の仕事の傍らtwitterの更新を行っていましたが、ある日突然爆発的な広がりを見せます。

地方の老舗企業と、twitterに疎そうなほのぼのした感じが出ているこの投稿が大いにうけました。画像の通り4.1万回のリツイート、18.5万のいいねがついています。

リツイートされるということは、そこから更に色んな人の目に触れるわけですし、「いいね」がついた場合にも拡散効果があります。

このツイートをきっかけに、たった40人だったやすもと醤油のフォロワーは8.9万人にもなっています。数百万人のフォロワーを持つ人もたくさんいるので、ピンと来ないかもしれませんが、8.9万人もとても大きな数字です。

例えばDMを送る場合、1通50円だとしましょう。8.9万人に出せば、445万円です。今後やすもと醤油は、無料で8.9万人に発信し放題、しかもリツイートやいいねがされることで無限の人間に製品の情報を届けることが可能です。

結果として、やすもと醤油のオンラインショップは即売り切れ、品薄状態が続き、各種メディアからの取材も多数入っているようです。

この件はヤフーニュースのトップで紹介されるほどになった、ある種の事件とも言えるものですが、Webマーケティングの可能性の大きさを感じられる、とても印象的な出来事です。

老舗企業とWebマーケティング。マッチしないどころか、とても相性が良いものなのかもしれません。

 

Webマーケティングのメリットと老舗企業の課題点

 

やすもと醤油の件でメリットはご理解いただけたかと思いますが、その他のメリットを具体的にご紹介すると

・効果がわかりやすい
・スピードが速い
・コストが安い
・狙ったターゲット層に直接訴求できる

という点が挙げられます。

従来の広告と比較するとわかりやすいと思いますが、例えばテレビCMを打った所で、本当にそのCMのおかげで売れた分がどれくらいだったのかははっきりわかりませんでしたし、DMにせよ展示会にせよコストも時間もかかりました。

また、マスのメディアになればなるほど、全く関係ない人にも届くことで結果的に無駄なコストとなってしまいます。

一方、インターネット上で広告を打つ場合、

・すべての効果、結果が完全に数値化される

・数分で発信が可能
・無料もしくは格安で発信が可能
・例えば「大阪 ランチ」と検索した人だけに表示させる事ができる

となります。

パソコンやスマホを使う方なら誰でも「最近やたらゴルフクラブの広告が出るなぁ」と思ったことがあると思いますが、あれは使っている人の趣味嗜好や年齢、地域などをパソコンのCookieという情報から読み取って、最適化された広告が出るような仕組みになっているからです。

これだけのメリットがあるWebマーケティング。やはり導入しないと損、という事になりそうです。

 

老舗企業の課題点

 

Webマーケティングをしていく上で、ネックというか課題点になるポイントもあります。

・社内に知見がない。スタッフがいない。
・悪影響が出るリスクもある。

先のやすもと醤油の例でも、担当者は普段は一般の仕事をしている社員で、どう見てもWebマーケティングに精通しているようには見えませんでした。

いろんな条件が重なって(醤油という万人が使う製品であった、担当者の人柄、地方の老舗だったなど)、たまたま注目を浴びたレアケースですが、これを狙うのは難しいものがあります。

Webマーケティングに精通しているスタッフがすでにいる老舗企業は少ないでしょうから、多くの場合は今いる社員にやらせてみるということになります。

当然簡単に結果が出ない場合のほうが多いので、この辺りどうやって会社として取り組むかは検討すべき課題点となりそうです。

また、インターネットはメリットだけでなく大きなリスクもあります。
これはWebマーケティング上の失敗というわけではありませんが、インターネットで広がった結果、会社に悪影響を及ぼしたケースとして、「いきなりステーキ」の例があります。

業績が悪化する中、社長が社内に出した文書や、店頭に張り出した手書きの文書が「高圧的だ」として、インターネットで悪い意味で評判になり、さらなる客離れを引き起こしたと言われています。

いきなりステーキを運営するペッパーフードサービスの創業は1970年。やはり50年の老舗企業です。

インターネットの拡散力や現在のユーザーの志向を理解せずに発信をしていくと、思わぬ痛手を被る可能性があることも予め理解しておくことが必要でしょう。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。Webマーケティングのメリット、必要性及び課題点をご紹介してきましたが、今後企業活動をしていく上でWebマーケティングは欠かせない活動になるはずです。

老舗企業の経営者の方は苦手分野に感じられる事もあるかもしれませんが、Webマーケティングは無料から開始できます。

一人担当者を決めて、ともに学びながら発信をしていくことで、担当者の成長も促すことも出来ますし、外部から専門家を入れることも可能です。是非取り組んで頂き、貴社のさらなる繁栄の一助にしていただければ幸いです。

 

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