中小企業では、お金が残らないという悩みは常に経営者を悩ませる問題です。
お金がないという状況になっても、企業として取ることのできる選択肢は少なく、経費削減などの案しか浮かばない経営者の方も多いのではないでしょうか。
もっとも経費削減によって生み出すことのできるお金はごく僅かに過ぎず、 経営者としては根本的な経営改善を行わなければいけません。
そこで今回は中小企業でお金が残る会社はどういう経営管理をしているのか、お金を残すためにはどういった改善をしていけばいいのか詳しく解説していきます。
中小企業は大企業と異なり、経営管理を厳格に行っていなければ将来的に生き残ることが出来ません。
仮に経営管理を厳格に行っていれば、企業の経営者が突然変わったとしても、もしくは社会情勢の変化(リーマンショック・コロナウイルスの感染拡大など)が生じてしまっても極端に経営状況が悪くなってしまうということは起きないといえます。
持続的な将来に向けての経営を達成するためには、経営管理において「利益の管理」を重視しなければいけません。
会社を経営するにあたって最大の目標は、事業の利益拡大にあり利益がないところには持続的な会社の存続というのもないからです。
中小企業が持続的に経営を行っていくためには、会社の利益の管理が重要になってきます。
100万円の売り上げに対して、10万円の利益は絶対に確保するという企業の方針が厳格に定められていれば、実務において経費が90万円を超えないような企業努力が行われることを予測できるでしょう。
売上に対して、目標となる明確な利益の数字が定められていなければ、100万円の売り上げに対して、その時々で使われる経費が大幅に異なり、赤字を出してしまうようなこともあり得ます。
そのため経営者としては、必ずと言っていいほど会社の利益の管理については厳格に行われなければいけません。
会社の利益の管理を厳格に行わなければいけないと理解していても、実際にどのようなやり方で利益管理を行えばいいのかわからない経営者の方もいらっしゃるでしょう。
そこで活用できるのが「売上総利益高営業利益率」の経済指標をモニタリングすることです。
この公式で求めた利益水準のモニタリングは、毎週もしくは月次決算の度に確認することが重要です。
毎週・毎月と継続的に利益水準のチェックを行うことによって、自社の利益管理を厳格に行うことができるからになります。
継続的に利益管理を行うことによって、現在の自社の状況と目標とする数字のギャップを明確化することができるので、これまで以上に効果的で効率的な経営を行うことができるでしょう。
中小企業がお金を残すためにできる最も重要なことは上記で紹介した利益管理です。
利益管理を行うことによって、自社の利益がどのくらいか改善を図るための指標が得られるるからになります。
もっとも利益管理以外にも、お金を残すために取り得る手段は企業の規模や現在の利益などに関係なくいくつかあるので、以下で実際に見ていきましょう。
中小企業が手元にお金が残らない原因の一つは、入金と支払いのバランスが著しくいびつなことです。
毎月の売上や売掛金お取引先から回収する前には、支払わなければいけない請求が手元に届いてしまう中小企業は多くあります。
こういった場合支払いの見直しを行うことによって、お金を手元に残すことができる可能性があるでしょう。
そのためには現在取引を行っている業者と、交渉を行う必要もあります。
商品や原材料の仕入れから見直し、取引先と交渉することで、今よりも少しだけ長い支払いの猶予期間を取ることができないか調整してみましょう。
支払期間を少しだけ長くすることの代わりに、取引量を増やしたり商品や原材料の仕入れる中身を変えていくと言った改善も並行して行うと効果的です。
さらに新規の取引先を増やす場合には、支払の期間についてしっかりと交渉を行い、手元にある程度お金が残るような支払日をあらかじめ決めておくことが重要になります。
手元にお金が残らない原因は、販売戦略に問題があるからかもしれません。
例えばあまり利益が上がらず経営的に苦しい状況の際に、売上を上げようと無理な目標を設定する経営者が多くいます。
しかし売上を上げるのではなく、売上の質を向上させることを経営者は考える必要があるでしょう。
商品やサービスの値上げを行うことによって、消費者の足が遠のいてしまうのではないかと心配してしまう経営者もおられるでしょう。
確かに単純な値上げでは、消費者は他の商品やサービスへ足を向けてしまう可能性があります。
そこで値上げ行うと同時に、価格以外での競合他社の商品やサービスとの差別化を図る必要があるでしょう。
そうすることによって単純に値上げを行っても、客足が遠のくことなく逆にリピーターとなってくれる可能性もあります。
価格というのは消費者にとっても分かりやすく差別化しやすいポイントです。
数字として消費者の目に現れるので、経営者としても単純に価格を下げることで販売効率を上げることができると考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし値下げというのは万が一の事態に備えて切り札としてとっておくべきであり、価格以外での商品の差別化を図ることが最優先事項になります。
商品が高い価値を有しているように見えるブランディングや、販売の際の現場での工夫など同じ商品やサービスを売るにしても、商品価値を高めるためにできることは多くあるのです。
価格以外での商品の差別化は難しいことですが、 ほとんどの企業ができていないことであり一度成功することができれば大きな差を生み出すことができます。
差別化を上手くすることができれば、結果的に商品が値上がりしたとしても消費者は不満を感じずに利用してくれるので、利益の質を上げることにつながるでしょう。
特定の商品やサービスを値上げした場合、 注意しなければいけないのは商品・サービス全体のバランスを見直す必要があるということです。
全ての商品・サービスをむやみやたらに値上げしてしまえば、当然消費者は不満を抱き徐々に離れていってしまいます。
そのため特定の商品を値上げした後には、商品全体のバランスを見直す必要があるでしょう。
値上げした商品を購入してもらうために、他の商品と抱き合わせで販売したり、商品に含まれている数を調整したりなど対策できることは数多くあります。
ある特定の商品を値上げしてそれで終わりではなく、必ず商品全体のバランスを見直して売上を落とさないように対策しましょう。
お金が残らない中小企業が、お金を残すために行うことができる経営管理としてまずやるべきなのは利益管理です。
利益管理を厳格に行うことによって、現在の自社の状況と改善すべき点を明確化することができます。
利益管理によって改善すべき点が明確化されたら、 支払いや販売戦略を見直すことも重要です。
利益管理のように細かい数字をチェックすることや、日常の支払い販売戦略などの見直しなどはごく小さいことにしか過ぎないと考えている経営者もいるかもしれませんが、これは間違いです。
こういった細かい数字を継続的に追いかけることによって、お金を手元に残し持続的に安定な経営を行うことが可能になります。
今あなたの企業では、利益などの数字に対してずさんな考え方をしていませんか。
もし自社の利益の数字や、支払いの日にちがパッと浮かばない経営者の方がいたら、すぐに見直す必要があるでしょう。