日本には創業から100年以上続く会社が、およそ3万社以上存在しており世界でも並ぶ国がないほどの長寿企業大国となっています。
時代の波に流されず、変わらずに存在し続けるということは、企業として誇るべきことです。
しかし、一方で少子高齢化による人口減少が進んでいることによって、事業承継や人材不足に苦しんでいる老舗企業も多くあります。
老舗企業は、就業規則が変わらずに、福利厚生が長い間見直されていない企業も多いです。
老舗企業は福利厚生などを通じ、従業員満足度を今よりもより高める事によって、これまで以上に企業として成長する余地が隠されているかもしれません。
そこで本記事では、老舗企業が導入すべき福利厚生について、詳しく解説していきます。
そもそも福利厚生とは、給与や賞与など労働の対価に払われる基本的な金銭とは別に、従業員に対して支払う報酬になります。
福利厚生には、2種類あり「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」分けられています。
法定福利厚生は、法律によって定められているものであり以下のようなものが代表的な具体例です。
一方で法定外福利厚生というのは、法律では定められていない、各企業が自ら定めた福利厚生です。
法定外福利厚生では、 住宅補助や育児休暇、社宅の利用など、従業員が気持ちよく生活することができるように、企業が提供する保証やサービスになります。
老舗企業では、法定福利厚生は法律によって定められているので当たり前ですが、法定外福利厚生が充実していないことが多いです。
法定外福利厚生は、企業によって様々なサービスや保証が提供されており、ユニークなものも多いので、後ほど紹介します。
老舗企業は、長い歴史の中で生き抜いてきたということもあり、ビジネスにおいて生き残るための努力を怠りません。
もっともビジネス面だけを重視して、従業員の福利厚生などを怠ってしまっている老舗企業もあるのではないでしょうか。
例えば、 リクルートキャリアが2019年に発表した調査によると、 新卒生が就職先を決定する際に決め手となった項目の中で、第2位になっているのが「福利厚生や手当が充実しているかどうか(37.8%)」という点です。
そのため優秀な新卒生を確保して、人材不足を解消するためには、福利厚生や手当を充実させることが重要といって良いでしょう。
なぜ老舗企業が、福利厚生を充実すべきなのかについて紹介してきました。
もっとも老舗企業が福利厚生を充実させることによって得られるメリットは、他にどのようなものがあるのでしょうか。
充実した福利厚生が会社によって提供されると、従業員がその会社で働く満足度があがります。
仕事だけではなく生活面でも福利厚生によって充実することで、仕事に対する意欲が向上し一人当たりの生産性を大幅にあげることも可能です。
働きやすく生活が充実する職場で仕事をすることができれば、自ずと企業の労働環境も改善されます。
従業員が良い労働環境で働くことができれば、 素晴らしい企業で働けていることを実感することができるので、 人材の定着にもつながるでしょう。
離職率が高い企業は、福利厚生を見直してみるというのも良いかもしれません。
上記でも紹介したように、就活生にとって企業を決めるポイントの上位になっているのが「福利厚生」です。
そのため福利厚生を充実させることで、 企業のイメージも良くすることができます。
福利厚生が充実しているということは、企業として経営が安定しているということの証明にもなるので、社会的な信頼を得ることもできるでしょう。
従業員の福利厚生を良くするということは、遠回りにもなりますが、確実に企業のイメージを良くするのです。
今では福利厚生は、就活生が就職先を決めるにあたって2番目に重視するポイントです。
福利厚生が充実しているかどうかによって、求職者の企業選びを左右しかねません。
また企業として特色のあるユニークな福利厚生を導入したり、欲している人材が好みそうなものを用意したりすることで、採用活動でも大きなアドバンテージにすることができるでしょう。
特に法定外福利厚生がない企業と比較すると、独自のものを用意している企業は求めている人材が集まりやすくなるので、人材不足を解消する可能性もあります。
福利厚生は条件もありますが、かかる費用は非課税対象になります。
企業として税金対策を行いたい場合、福利厚生を計上することができれば、大きな節税効果があるでしょう。
福利厚生を充実させる重要性は分かったとしても、どのようなものを具体的に導入すれば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで以下では、企業が独自に導入しているユニークな福利厚生の数々を紹介していきます。
従業員が日々精力的に働くことができるのは、支えてくれる家族がいるからです。
株式会社エイトでは、従業員の妻・子供・両親の誕生日や命日に特別休暇を与える福利厚生を導入しています。
同社では、毎年家族の誕生日や命日を事前に申請書として提出。
提出された申請書を考慮して、事前にスケジュールを確保することで、企業として休暇を確実に消化できるようにしているのです。
この制度は、「従業員がより私生活を充実させ満足を得ることができる」ことを目的として創設されました。
毎日働くのは、自分のためであることはもちろんですが、家族と豊かな生活を送っていくためでもあります。
それにも関わらず、仕事などで妻や子供の毎年の節目を一緒に祝うことができないのは、満足度が著しく下がってしまうことにもつながるでしょう。
同社では、毎年家族の誕生日や命日を事前に申請書として提出します。
提出された申請書を考慮して、事前にスケジュールを確保することで、企業として休暇を確実に消化できるようにしているのです。
企業の中で働く従業員でも、将来的に独立して事業を展開したいという希望を抱いている人は多いです。
上記で紹介したリクルートキャリアの調査でも、自分の成長のためにという視点で就職先を選ぶ人が1番多いという結果があるように、将来的に独立ができるようになるまで成長ができる環境であるかどうか、というのは求職者にとって重要な点になります。
そこで今注目されているのが、福利厚生として独立支援制度を定めることです。
実際に独立支援制度を福利厚生として採用している企業の例を、以下で紹介します。
外食チェーン店を展開している株式会社ホットランドでは、意欲のある人材を採用する為に独立支援制度を導入しています。
入社した従業員で独立の意欲がある人は、社内で定められた様々な検定試験を受けることで、効率の良い店舗運営やトラブル解決能力などを磨くことが可能です。
定められた試験などで経験を積んだら、実際に独立することができます。
自分が働き慣れた既存の店舗で独立することを可能としており、初期の出展に際してかかる費用を抑えたり集客に苦労したりすることがないので、スムーズに独立することができるでしょう。
また食材などもそのまま仕入れをすることができるので、新しく仕入れルートを開拓する必要もなく、独立の手間を省くことができます。
独立の意欲がある従業員にとっては、一生懸命働くことによって独立の道が見えるので、満足度や定着率のアップにも繋げることが可能です。
進学塾CUBEでは、社内独立支援制度というのを福利厚生の一環として導入しています。
独立意欲の高い従業員の方は、入社3年以降に社内独立ができるようになっており、勤労意欲の向上や優秀な人材の確保に繋がっているのが特徴です。
資金ゼロから生徒がいる既存店舗を譲渡するような仕組みになっているので、従業員としても独立のリスクを最低限で抑えることができます。
働き方の多様性が広がっている現代社会において、介護や育児休暇を福利厚生として導入するのも必要不可欠になってきます。
特に育児休暇については、女性はもちろんのこと男性も少しずつ取れるようにしていこうというのが、国の方針です。
また少子高齢化が進んでいく社会において、介護休暇を導入するというのも重要になってきます。
介護や育児で、できるだけ家族と同じ時間を過ごしたいという従業員がいたとしても、休暇を取ることができなければ、離職する可能性も上がってしまうでしょう。
ベンチャー企業の株式会社サイボウズでは、最長で6年介護・育児休暇を取ることができる福利厚生を導入。
同社では一時期離職率が約3割まで上がってしまったことを教訓として、従業員が辞めずに長く働き続けることができる会社を目標としてこの制度を導入しました。
この介護・育児休暇は、回数制限がなく取得することができるので、子供や要介護者の状況によって柔軟に休暇を取ることができます。
実際にこの制度を導入することで、約3割まで上昇していた離職率を4%まで下げることができたという驚きの結果を生みました。
プライベートの時間を充実させるという点で、様々な所に旅行として出かけることをしている人も多いのではないでしょうか。
そこで福利厚生として、旅行補助金を導入している企業が日本セーフティ株式会社です。
同社では、より働きやすい職場を作るために従業員がよりプライベートの時間を充実させるため旅行補助金制度を導入しています。
国内旅行や海外旅行に出かけた際に旅行補助金を支給することで、心身共にリフレッシュすることができ、より従業員の満足度や定着率をあげることに繋がっているのです。
今回は老舗企業が導入すべき福利厚生制度について詳しく紹介してきました。
福利厚生を充実させることによって、様々なメリットがあります。
近年では特に福利厚生の重要性が高まっており、新卒生が入社する会社を決めるにあたって2番目に重視するのが福利厚生です。
そのため福利厚生を充実することによって、今までいなかった求めている優秀な人材を確保することができる可能性があり、人材不足を解消するきっかけにもすることができるでしょう。
もっともどんな福利厚生を導入しても良いというわけではありません。
多くの種類の福利厚生を充実させる余裕がない企業にとっては、どういったものに力を入れていくかというのが重要になります。
そのため従業員の定着率を上げるためなのか、新しい人材を確保するためなのかというのをしっかりと事前に見極める必要があるでしょう。
適切な福利厚生を充実させることで、企業としてより成長をする可能性もあるので、今回の記事をきっかけに検討してみてはいかがでしょうか。