【ワークマン、メルカリ、弁護士ドットコム】コロナ禍でも業績好調な3社の決算内容を考察!

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新型コロナウイルス感染拡大で、日本企業の大部分が苦戦を強いられている中、様々な企業が決算発表を行いました。

そこで今回の記事では、ワークマン・メルカリ・弁護士ドットコムといった、様々な業種の決算発表について考察していきたいと思います。

また次回の記事では、TOKYO PRO Marketから他市場へ鞍替えした3銘柄、ニッソウ、global bridge HOLDINGS、歯愛メディカルについての考察もしていくので、あわせてご覧になって下さい。

 

決算発表の考察① ワークマン

 

画像引用:Wikipedia

新型コロナウイルス感染拡大によって著しい被害を受けている業界の一つがアパレルです。

もっとも新型コロナウイルス関係なく例外的に好調を維持し続けている企業の1つが、作業服などの小売を行っている「ワークマン」になります。

ワークマンは作業服専門の小売店として経営を行ってきましたが、近年では若者や女性などの一般層に向けたアパレルも展開しており、コロナという大きな社会情勢の変化にも負けずに成長を続けているのが特徴です。

 

ワークマンの決算発表


ワークマンが発表した決算報告によると、2020年の3月期は以下のようになっております。

  • チェーン全店売上…1220億円(前年同期比31.2%増)
  • 営業利益…192億円(同41.7%増)
  • 経常利益…207億円(同40%増)
  • 純利益…134億円(同36.3%増)


コロナ禍で不況のアパレル業界の中では、驚異的と言ってよい数字になります。

ワークマンの業績は10期連続最高益を更新しており、すでに2020年の9月にはユニクロの国内店舗数を抜くほどの店舗展開を行っているのも特徴的です。

なぜここまでの業績を出し続けることができるのでしょうか。

 

ワークマンが成功する理由「しない経営」


普通の企業では様々なデータを活用しながら、達成するべき目標とその期限やノルマなどを定めるのが当たり前のことです。

しかしワークマンでは、こういったことはしません。

例えば、ワークマンは元々作業服専門の小売店でした。

現在では一般層に向けたアパレルも展開していますが、作業服という狭いジャンルに絞ったことによって大きな成功を収めるめたのが現在の繁栄の大きな要因のひとつです。

そのためワークマンでは、アパレル業界の当たり前の戦略などは真似をしないということが社内の共通理解になっています。

なぜなら様々な業務に手を伸ばしてしまうと、社員個人の努力に頼ってしまうこととなり、 退職や休職で欠員が出てしまった場合に、他の人に引き継げなくなってしまうからです。

そのためワークマンでは、様々なことに手を出さず「しない経営」を決定することによって今日の成功を収めました。

以下はワークマンが行っている、しない経営の一部になります。

社員の負担になることは「しない」

・期限を定めること

・ノルマを定めること

・必要以上に頑張ること

ワークマンに合わないことは「しない」

・高粗利益製品の販売

・値引き販売屋顧客管理など

・目新しい新製品の販売

価値を生まない無駄なことは「しない」

・飲み会などの社内行事

・経営層の出社

決算発表にも現れた「しない経営」


ワークマンの「しない経営」というのは、決算発表の時期にも表れています。

日本では近年決算を早期化するという暗黙の流れがあり、決算から決算発表までの期間が著しく短くなっていました。

そんな中でワークマンは、あえて決算発表日を一週間延ばすことに決定。

決算を遅らせることによって投資をしている人から非難を浴び不安を感じさせ、株価にも影響を及ぼす可能性もありましたが、結論的にはそうはなりませんでした。

決算の早期化をすることによって、経理の社員に対して負荷がかかり残業などお知らせることになり、監査法人もワークマンの監査をきちんと行うことができなければ、長期的には大きなマイナスとなってしまいます。

実際に決算発表を遅らせたことによって出た影響はほとんどなく、株価にも影響を及ぼさずに正確な決算をすることに成功。

こういった細部にもワークマンの「しない経営」というのが徹底されており、成功した一端を垣間見ることができます。

在庫問題という懸念


コロナ禍でも好調を維持しているワークマンなので、目下企業として問題を抱えていないように見えますが、成長したことによって「在庫問題」という懸念を抱えております。

従来ワークマンでは売れる量だけ生産することをモットーに、過剰な生産から余った商品を特売で処分するといったことはしていませんでした。

最も営業が好調になったことによって、フランチャイズ店も少しずつ増えてきたことにより、売れる以上に商品を発注する店舗も増えてきたという問題が生じてきたのです。

しかしこういった余剰在庫が生じたことによって、ワークマンは一度は発注を店舗に任せていたのを、再度本部で管理することを決めることによって問題の解決を図りました。

実際に生産した98%の商品は定価販売していることを考えると、本部で製品の生産管理をするという決断は、過剰在庫の抑制と売上の向上にかなり役に立ったといえるでしょう。

コロナ禍にも負けないワークマンの次なる課題は、在庫問題をどのように解決するかにあるかもしれません。

決算発表の考察② メルカリ 

 

メルカリ本社が入る六本木ヒルズ森タワー 画像引用:Wikipedia


メルカリも新型コロナウイルス感染拡大に苦しんでいる企業の中で、好調の企業のうちの1つです。

メルカリの決算発表


メルカリが10月30日に発表した2021年6月期第1四半期(20年7〜9月)の連結決算は、以下のようになっています。

  • 売上高…221億5600万円(前年同期比52.3%増)
  • 営業損益…3億6400万円の黒字(前年同期は70億1000万円の赤字)
  • 最終損益42億8100万円の黒字(同71億1300万円の赤字)

新型コロナウイルス感染拡大にも関わらず、国内でのメルカリ事業が堅実に成長したことや、アメリカメルカリ事業・「メルペイ 」(モバイル決済サービス)に対しての投資を抑えたことも黒字が出た要因の1つになります。

もっともメルカリ側は、投資を再度行うことによって赤字になる可能性も考慮していると発表しており、新型コロナウイルスの感染拡大状況を考慮して、今後の投資活動によっては赤字になる可能性も今回の決算報告で抑さえておくべきポイントです。

アメリカメルカリ事業は成長傾向にあり


数年前から海外展開に積極的になっているメルカリは、アメリカ事業においても、配送をより便利にすることに力を費やしており、ユーザーの利便性は年々上がっています。

特に6月にサンフランシスコにおいて開始された即日配送サービス「Mercari Now」は、コロナ禍という状況で外出することなく発送することが高く評価され、出品者のうち4人に1人は配送手段として選択していることが分かりました。

そのためメルカリは、10月からもニューヨークのマンハッタンやブルックリンで運用を開始しており、今後アメリカ全土でユーザーを増やしていくことを目論んでいます。

また8月には、UPSによる発送に関しても QR コードを導入することにより、これまで必要であった紙の印刷を不要にすることで、ユーザーの利便性の向上に勤しんでいるのも印象的でした。

今後は決済手数料の導入をすることによって、収益の基盤を強化することにより、更なるユーザー拡大とプロダクトの機能強化を図っていく方針とのことです。

モバイル決済サービス「メルペイ」 のユーザー増加


メルカリが進めているモバイル決済サービスメルペイ事業の普及は、現在は収益化を目指しているフェーズに位置づけられています。

与信サービスの強化やドコモ・信金中央金庫のパートナーとの業務提携効果の創出にも取り組んでおり、特にドコモとの間の利用はd払いとメルペイが共通したことにより、ドコモ経由での加盟店が増加することが予想でき、今後も順調にユーザーは増加していくでしょう。

一方でメルペイは9月2資金移動業者を通じた不正出金の利用も報告されており、これに対して本人確認や不正利用防止の強化を実施。

新規金融機関との接続時において、初めて金融機関口座からチャージする際に本人確認を義務付ける仕様に変更しました。

こういったユーザーに対する信頼感を得るためのシステムへの投資も行なっており、安心してメルペイを利用することができる環境をつくることで更なるユーザー増加を目指しているのも印象的です。

さらなる投資に向けての動きも


メルカリは新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢の大きな変化にも対応し、ある程度の企業としての落ち着きを見せた決算報告になりました。

社会情勢が不安定だという点を考慮して、前期まで行なっていた投資については一時的に控える姿勢を見せていましたが、 今後は情勢の変化も考慮しながら動いていく方針を発表。

成長が見込まれる場合には、グロースを最優先した投資を今までと変わらない姿勢で行なっていく可能性もあり、企業として状況を注視しながら検討中とのことです。

グロースを最優先した都市によって再度営業赤字になる可能性があると言っても、メルカリの事業自体は好調といえるので、今後も企業として着実に成長していくことが予想されます。

決算発表の考察③ 弁護士ドットコム


弁護士ドットコムの決算発表について考察していきます。

弁護士ドットコムの決算発表


弁護士ドットコムの9月中間決算は以下のようになっております。

  • 売上高…24億3500万円(前年同期比26.2%増)
  • 営業利益…1億0800万円(同58.2%減)
  • 経常利益…1億0900万円(同58.0%減)
  • 最終利益…6700万円(同57.9%減)

増収と減益が目立つ決算発表になりましたが、これは弁護士ドットコムが提供しているクラウドサインによる影響です。

電子契約普及に大きく影響 クラウドサイン


国が電子契約普及に向けて急速な法整備を整えたことによって、弁護士ドットコムが提供するクラウドサイン(電子契約サービス)が注目を浴びています。

特に印鑑による実印などを徐々に無くしていく方針を国が打ち出したため、様々な領域で電子契約の普及が加速していくことが期待されており、クラウドサインが様々な企業などで利用される可能性が増していることも決算発表の場では強調されました。

  • 人事総務領域では、労働者派遣契約の完全電子化が解禁、押印の廃止
  • 不動産領域においては、不動産賃貸借契約や売買契約における重要事項説明書等の電磁的方法による交付
  • 金融領域においては、従来は対面でなければいけなかった金融機関での口座解廃・融資の申し込みといった様々な金融関連手続きの電子化

こういったことが行えるような法整備が急激に進んだことによって、電子契約に二の足を踏んでいた企業にもクラウドサイン導入が期待されます。

弁護士ドットコムニュースの認知度向上


弁護士ドットコムでは、コンテンツの提供やユーザビリティの向上、自社で提供しているオウンドメディアの記事配信に関する認知度向上にも力を入れています。

会員登録弁護士数は2万551人と前年同月比より14.5%増加しており、着実にユーザーが利用しやすい環境を整えているのも印象的です。

月間サイトの訪問者数は激減


一方で Google の検索アルゴリズムが変更されたことにより、弁護士ドットコムサイトの表示順位が下落した影響を受けて、サイト訪問者数は前年同月比より30%減少。

さらに有料会員サービスの有料会員者数も、前年同月比から14.1%減となっており、今後の改善策を模索している状況になります。

まとめ 決算発表の考察


今回はワークマン、メルカリ、弁護士ドットコムの3社に関する決算発表の考察をしてきました。

どの企業も新型コロナウイルス感染拡大にも関わらず、着実に業績を伸ばしているのが印象的です。

次回の記事では、TOKYO PRO Marketから他市場へ鞍替えした3銘柄、ニッソウ、global bridge HOLDINGS、歯愛メディカルについての考察をしていきます。

 

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