新型コロナウイルス感染拡大に伴って、日本の中小企業も苦境に立たされているところが数多くあります。
感染防止に対する企業としての取り組みや、事業モデルそのものの変化を強いられるという企業も少なくありません。
国としても中小企業に対して様々な種類の助成金を交付することで、可能な限りの支援を行うという動きが見られます。
そんな中で、現在注目されているのが「事業再構築支援金」です。
今回はこの「事業再構築支援金」について、制度の内容などを中心に詳しく紹介していきます。
事業再構築支援金とは、中小企業に対しての補助金として新しく創設される制度になります。
新型コロナウイルスという世界中で猛威を振るっている脅威に対して、事業モデルの転換や感染防止に取り組んでいる中小企業へ、転換にかかる費用のおよそ3分の2を補助(1社あたり100万円から1億円)するという制度です。
この事業再構築のための支援金は、およそ1兆円超を確保されており、持続化給付金に続く不況に立たされた中小企業を支援するための制度と言えるでしょう。
持続化給付金については、新型コロナウイルスによって業績が悪化し赤字がかさんでしまった企業に対して、赤字補填をするという目的で国が支援をするものでした。
一方でこの事業再構築補助金は、企業として感染拡大している世の中でも、新たな事業モデルを構築し適用することができるような取り組みを可能にするための支援金になります。
持続化給付金は、制度として様々な抜け目があったため、不正給付などが数多く行われるといったことがありましたが、今回の事業再構築支援金では、企業としてどういったものにお金を使うのか、計画書や経費費目を審査し管理するものとなっているのが特徴です。
参照 経済産業省 中小企業庁 事業再構築補助金に関して URL:https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/
事業再構築支援金については、経済産業省中小企業庁より詳しいパンフレットが 配布されています。
以下がそのパンフレットになるので、こちらの方も合わせて参考にしてください。
参照リンク:経済産業省中小企業庁による事業再構築支援金についてのパンフレット>>
事業再構築支援金の対象となるのは、一体どういった企業なのでしょうか。
以下で具体的な例とともに紹介します。
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、大きな打撃を受けている業界の1つが製造業です。
そこで製造業において、どういった企業が事業再構築支援金の対象となるのか紹介します。
このように新型コロナウイルス感染拡大で、企業として従来の市場では立ち行かなくなっている場合に、新しい事業へと参入する際の資金や、コロナウイルスに対応する製品など開発 に向けて事業転換を行う場合に対象となります。
会食などで感染リスクが高まることを指摘されることによって、急激に客足が遠のいてしまっているのが飲食業界です。
こういった飲食業界では、従来のサービスを改良することが強いられています。
そういった中で、事業再構築支援金の対象となる飲食業の具体例は、以下の通りです。
飲食業では、上記のように感染リスクを軽減するための新たなサービスの導入や開発などを行う企業が、事業再構築支援金の対象となります。
観光客などがいなくなってしまったことによって、宿泊業界も苦境に立たされている業界の一つと言えるでしょう。
観光客が目減りしてしまったことによって、ホテルや旅館では大幅に稼働率が低下しています。
もっとも日本国内では企業のテレワークが拡大することによって、テレワークを行う場所や働くためのスペースが必要となっているのも事実です。
そこで宿泊業としてではなく、不動産賃貸業などとして、働く場所の提供を行うよな業種転換をする場合に、事業再構築支援金の対象となる可能性があります。
経済産業省中小企業庁による発表をもとにした、事業再構築支援金の支援額がどのくらいなのかを以下の表にまとめました。
補助金額 | 補助率 | |
1 中小企業 | 100万円以上6000円以下 | 2/3 |
2 中小企業 卒業枠 | 6000万円以上1億円以下 | 2/3 |
3 中堅企業 | 100万円以上8,000万円以下 | 1/2 4000万円超は1/3 |
4 中堅企業 グローバル V 字回復枠 | 8,000万円以上1億円以下 | 1/2 |
(参照 経済産業省中小企業庁 令和2年度第3次補正予算案の事業概要について URL: https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei3_yosan_pr.pdf
ほとんどの中小企業は1の中小企業に該当し、補助金額が100万円以上から6000万円以下で補助率が2/3となります。
一方で2の中小企業卒業枠については、期間内に組織再編や新規設備投資、グローバル展開が行われることによって、中小企業から中堅企業へと枠組みが変わることが予測される企業に対しての特別の枠になります。
そのため中小企業卒業枠については、限定400社とされているのが特徴です。
3の中堅企業についても、ほとんどの中堅企業がこれに該当し、100万円以上8000万円以下の補助金額で補助率が1/2と成増。
一方で4の中堅企業グローバル V 字回復枠については、限定100社となっており以下の要件が定められています。
事業再構築支援金を受け取ることができる企業の要件については、以下の2つが定められています。
上記の「事業再構築指針」というのは、経済産業省が2020年の第3回補正予算にて、コロナウイルス感染拡大によって苦境に立たされている中堅・中小企業を救うために策定される予定のガイドラインになります。
上記でも紹介したように、事業再構築支援金は新型コロナウイルス感染拡大に伴う事業モデルの転換や感染防止に取り組むために交付されるものです。
こういったことを踏まえて支援金を交付するにふさわしいかを判断する材料となる指針を定めることが予測できます。
持続化給付金と異なり事業再構築支援においては、 企業が用意しなければいけない資料がいくつかあります。
2021年1月段階では以下のものが必要とされていますが、 今後さらに必要な資料が増える場合もあるので注意が必要です。
ここまで事業再構築支援金について詳しく紹介してきましたが、気になるのはいつ始まるのかなのではないでしょうか。
2021年1月現在では、事業再構築支援金の制度が開始される日程は未定となっています。
国会での第3次補正予算の審議成立などを経て、事務局などを選定し、公募に関する準備が進められるので、今すぐというわけにはいかないでしょう。
今回は新型コロナウイルス感染拡大に伴って、苦境にさらされている中小企業を救うカギとなり得る事業再構築支援金について紹介してきました。
残念ながら2021年1月の現段階では事業再構築支援金の開始日程が、いつなのかというのは詳しく決まってはいません。
もっとも経済産業省中小企業庁のホームページでは、可能な限り早期に公募が開始できるように準備して参りますと記載されているように、明日の経営も難しい中小企業のため早期開始が望まれます。
新型コロナウイルス感染拡大という未曾有の危機のなかで、事業のモデルを転換する、もしくは感染拡大防止のための事業を始めることを考えている経営者の方にとっては、うってつけの制度と言えるでしょう。
そのため今後も事業再構築支援金の進捗具合を注視しておきましょう。