中小企業や個人事業主にとって、最も頭を悩ます課題とはなんでしょうか?
それは「資金調達」です。
中小企業や個人事業主の多くが、銀行からの融資に依存しています。
しかし、実際には融資を受けられず、資金調達先を見つけられないのが現状です。
それはなぜでしょうか?
知名度や信用が低い、中小企業や個人事業主は
融資を受けられる可能性が低いからです。
また、大手企業のように豊富な資金力も無い。
では、中小企業や個人事主はどのように資金調達をすればいいのでしょうか?
ご安心ください。
大手企業ほどの豊富な資金力や信用がなくとも、銀行以外にも
資金調達の方法はあります。
これからご紹介する5つの資金調達法を参考にしていただければ
きっと資金調達の選択肢が増えるはずです。
ぜひ、参考にしていただき
事業を長く円滑に継続していただく一助となれば幸いです。
最初に、ご紹介するのは「日本公庫」による資金調達法です。
正式名称は「日本政策金融公庫」と言い、平成20年に設立されました。
日本公庫は、「国民、中小企業者、農林水産業者の資金調達を支援する」 という理念を掲げた国の政策の下、創業や中小企業の事業支援を行っています。
更にその理念の中には、 「民間金融機関の補完」とあり、一般的な銀行で融資を受けられない事業者でも 融資を受けられる可能性があります。
様々な融資がありますが、ここでは代表的な融資を5つご紹介します。
融資名称 | 利用対象者 | 融資限度額 | 融資期間(据置期間) |
一般貸付 | ほぼ、全ての事業者 | 4800万円 特定設備資金7200万円 | 運転資金:7年以内(1年以内) 設備期間:10年(2年以内) |
新規開拓業資金 | 新規事業を始める方。 または事業開始後7年以内の方 | 7200万円 | 運転資金:7年以内(2年以内) 設備期間:20年(2年以内) |
新事業活動促進資金 | 事業転換などの、第二次創業を図る方 | 7200万円 (うち、運転資金4800万円) | 運転資金:7年(2年以内) 設備資金:20年以内(2年以内) |
マル経融資 | 商工会議所等での推薦を受けた方 | 2000万円 | 運転資金:8年以内(2年以内) 設備資金:20年以内(2年以内) |
中小企業経営力強化資金 | 外部専門家の指導・中小企業の会計に関する基本容量適用により、経営強化を図る方 | 7200万円 (うち運転資金4800万円) | 運転資金:7年以内(2年以内) 設備資金:20年以内(2年以内) |
それでは、制度融資のメリット・デメリットについて 見ていきましょう。
・金利が低い 。
・据置期間(返済猶予)が長い
・融資を受けられるハードルが高くない。
・事業計画がしっかりしていれば、企業前でも融資やローンを受けられる 。
・融資実績が付くので、信用が得やすくなる。
・融資が行われるまで3週間以上かかるので、早急に融資が必要な場合は向かない。
・保証人がいないと、融資を受けられない場合が多い。
以上が、日本公庫からの資金調達方法及び メリット・デメリットです。
今回ご紹介した以外にも 災害や震災、コロナによる被害など様々なケースへの融資があります。 詳しくは日本公庫のHPからご確認ください。
【日本公庫ホームページ】
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index.html
次にご紹介するのは 「制度融資」による資金調達法です。
制度融資とは、中小企業や個人事業主・起業家に向け
・地方自治体
・信用保証組合
・金融機関
上記が連携して融資を行う制度の事。
中小企業や個人事業主などの支援を目的としているので 起業したばかりで、実績も信用もない状態でも従来の金融機関に比べると融資を受けやすい制度です。
融資を受けられないと起業しようという人も減ってしまい新たなビジネスモデルの誕生を阻害する事に繋がります。
そこで、自治体のサポートや信用保証協会からの保障により、 だれもが起業しやすくしよう!というのが制度融資なのです。
それでは、制度融資のメリット・デメリットについて 見ていきましょう。
・起業したばかり、信用が低くても融資を受けられる可能性が高い。
・金利が1~3%と、非常に低い。
・据置期間が1年程度設けられている。
・融資期間が5年以上と長い。
・自治体ごとに、様々な制度があり選択肢が多い。
・手続きから融資が行われるまで3ヶ月前後かかる。
・保証人が必要な場合がある。
・自治体により、制度にバラつきがあるので内容が一律ではない。
以上が、制度融資からの資金調達方法及び メリット・デメリットです。
詳しい制度融資は、お住いの労働局のHPからご確認ください。
次にご紹介するのは 「補助金・助成金」です。
補助金・助成金とは、国や地方自治体が実施している 中小企業や個人事業主・起業家向けの支援策になります。
要件をクリアできれば、 国や地方公共団体などから返済不要の融資を受けることができます。
起業時に使える代表的なものとして 「創業・事業継承補助金」があります。
経済活性化を目的とたもので、創業者に対して経費の一部を助成し最大で200万円が支給されます。
それでは、補助金・助成金のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
・返済不要
・様々な種類の助成金・補助金がある。
・支給時期と支給金額が確定してるので、資金繰りがしやすい
・実績として信用につながる。
・売り上げではなく、雑収入になる。
・審査や、申請する際に資格要件がある。
・審査や資格要件をクリアしないと、受けられない。
・後払いなので、自社の持ち出しになってしまう。
・経費への全額援助ではなく、最大支給額が決まっている。
・申請期間があるので、その期間内に間に合わないと受けられない。
以上が、補助金・助成金の資金調達方法及び メリット・デメリットです。
詳しい補助金・助成金は経済産業省のHPからご確認ください。
【経済産業省ホームページ】
https://seido-navi.mirasapo-plus.go.jp/supports/155
次にご紹介するのは 「ベンチャーキャピタル」による資金調達法です。
ベンチャーキャピタルとは、これから成長するであろう見込みのある未上場のスタートアップ企業やベンチャー企業に出資する投資会社です。
出資した会社が成長しないと損をしてしまうので、ベンチャーキャピタルは自社や外部のコンサルタントを使い、経営のサポートをしてくれます。
出資先の会社が無事に成長し、上場した際に株式や事業を売却し、出資との差額によって利益を回収することを目的としています。
それでは、ベンチャーキャピタルのメリット・デメリットについて 見ていきましょう。
・返済不要
・仮に事業が失敗しても、金融機関からの融資のように利息を払い続けることがないので傷 は浅く済む。
・有名なベンチャーキャピタルから出資を受けると、話題性があり信用を得られる。
・ベンチャーキャピタルによる経営コンサルティングを受ける事が出来る。
・ベンチャーキャピタルが経営に関わるため、自由な経営がしにくい。
・株式上場を目指した経営をしなければならず、上場によるリスクを伴う。
・経営困難と見ると、ベンチャーキャピタルが早期に手を引くリスクがある。
ベンチャーキャピタルは、インターネットや新聞・雑誌で投資先を常に探しています。
こちらからベンチャーキャピタル会社に直接的なコンタクトするよりも 銀行や証券会社、会計事務所などから紹介をしてもらう方が好ましいです。
以上が、ベンチャーキャピタルの資金調達方法及び メリット・デメリットです。
エンジェル投資家とは、スタートアップ起業やベンチャー企業・個人事業主を支援する個人投資家の方たちです。
多くは、元起業家や実業家になります。
エンジェル投資家は、投資する代わりに見返りとして株や社債を受け取ります。
投資した企業が成功することでリターンを得るわけです。
ベンチャーキャピタルに似ていますが、 組織ではなく、個人の投資家です。
実は、AppleやYahoo!、Googleなど多くの有名企業もエンジェル投資家からの援助を受け大きく成長したという背景があります。
日本でも、エンジェル投資家に援助が増えており、今後メジャーな資金調達方法の1つ になるかもしれませんね。
それでは、エンジェル投資家のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
・金融機関やベンチャーキャピタルよりのように審査がないので、興味を持ってもらえれば 融資を受けやすい。
・投資なので、返済不要
・エンジェル投資家の多くは、元企業家なので経営のアドバイスを受けることが出来る。
・エンジェル投資家の繋がりで人脈が広がる。
・密なビジネスパートナーとして、切磋琢磨できる。
・エンジェル投資家の興味が湧くようなビジネスモデルや理念が無いと厳しい。
・金融機関ほど、大きな金額は受け取りにくい。
・個人との契約になるので、受け取れる金額や期間などの内容が一律ではない。
・株式上場を目指すことになるので、上場のリスクが発生する。
・株の所有率が多いエンジェル投資家もいる。
・最悪、会社を乗っ取られるリスクもある。
以上が、エンジェル投資家からの資金調達方法及び メリット・デメリットです。
いかがでしたでしょうか?
今回は、中小企業が銀行以外から資金調達する方法を5つご紹介させていただきました。
ここで紹介した以外にも 「クラウドファンディング」など様々な資金調達の方法が出てきています。
時代の変化により、今後も様々な資金調達の方法が出現すると考えられます。
大切なのは、融資可能な金額よりも ご自身のビジネスモデルにあった資金調達方法です。
無理をして、経営破綻してしまえば元も子もありません。
資金調達方法のそれぞれのメリット・デメリットを把握し、しっかり精査したうえで決めることが大切です。
さて、日本の企業の多くは中小企業によって成り立っています。
現在、世の中は新型コロナウイルスの影響で否応なしに変化を求められる時代の転換期を迎えております。
中小企業や個人事業主は たいへん苦しい状況に置かれていますが、 この状況をピンチと捉え、ただ疲弊するだけで良いのでしょうか?
逆に、苦しいからこそ従来のモデルからは 想像もつかない新たな手段でチャンスを掴む可能性が あると思います。
またそういった企業が今後どんどん出てくるはずです。
この変化の激しい時代で、生き残っていけるように 円滑な資金調達と経営で出来るだけ長く事業を存続させていただきたいと考えています。
この記事が、皆様の資金調達のお役に立てれば幸いです。