老舗企業が上場するTOKYOPROマーケット市場とは?新しい市場名とは

tokyo-promarket

企業の成功の1つとしてあるのが「上場」です。

企業を立ち上げた経営者の方の多くは、自社の成功要素の1つとして上場することを目標にしている人も多いのではないでしょうか。

もっとも単純に上場するといっても、現在では様々な証券取引所があります。

  • 東証一部
  • 東証二部
  • ジャスダック
  • 東証マザーズ

     

その中で最近老舗企業などから熱い注目を受けているのが「TOKYO PRO Market市場です。

東証一・二部、ジャスダックなどは普通に生活していても耳にするものですが「TOKYO PRO Market市場」というと初めて聞いた方もいるかもしれません。

そこで今回は日本に数多く存在する老舗企業が大きく飛躍する鍵を握っている「TOKYO PRO Market市場」について詳しく解説していきます。

 

TOKYO PRO Market市場とは


tokyo-pro-market_1
TOKYO PRO Marke(東京プロマーケット)市場とは、 東京証券取引所が運営している株式市場の1つです。

東京証券取引所には、TOKYO PRO Market市場の他に4つの市場があります。

  1. 東証一部
  2. 東証二部
  3. マザーズ
  4. ジャスダック

     

TOKYO PRO Market市場は、 上記4つの市場と比較すると「プロ投資家向けの市場」といわれています。

なぜなら、TOKYO PRO Market市場は、一般の投資家が参加できず上場時に公募や売出をほぼ行なっていないからです。

機関投資家や金融資産運用している株式会社、もしくは3億円以上の金融資産を持っている個人投資家などが対象となっています。

 

TOKYO PRO Market市場の開設目的


TOKYO PRO Market市場が開設された目的は、以下の通りです。

  1. 日本やアジアにおける成長力のある企業に新たな資金調達の場と他市場にはないメリットを提供すること
  2. 国内外のプロ投資家に対して新たな投資機会を提供することによって、日本の金融市場の活性化と国際化を図ること


上記の目的からTOKYO PRO Market市場は開設され、ロンドン証券取引所の運営するロンドンAIMにおけるNomad制度を参考にして[J-Adviser制度」を採用するなどしており、機動性や柔軟性に飛ぶ市場運営の実現を目指しています。

参照 日本取引所グループ TOKYO PRO Market市場 概要 URL:https://www.jpx.co.jp/equities/products/tpm/outline/index.html

 

TOKYO PRO Market市場の特徴について


tokyo-pro-market_2
企業として株式上場するということは、多くのメリットがありますが、TOKYO PRO Market市場は、他の市場と比較しても大きなメリットとデメリットがあります。

 

TOKYO PRO Market市場のメリット


メリットは以下のようになっています。

メリット 1. 上場までのスピードが早い

上記でも少し触れてきた東証一部・二部やマザーズといった有名な株式市場で上場しようとすると、 順調に上手く行ったとしても約3年はかかってしまうのが事実です。

なぜなら株式市場に上場するにあたって、上場審査というものがありに2期分の監査証明が必要となってしまうからになります。

この監査証明のために会計処理などの整備を企業内で行う必要があり、この準備に約3年がかかってしまうのです。

一方でTOKYO PRO Market市場では、直近の事業年度1期分の監査証明で良しとされており、上場の際に時間がかかりません。

そのため他の株式市場で上場するよりもスピードが早く、すでに監査法人の監査を受けているような企業の場合、上場することを決めてから1年以内に全ての手続きを済ませることも可能です。

メリット 2. 上場に関しての形式的な基準がない


企業として株式市場で上場するためには、形式的な基準と実質的な基準の2つを満たす必要があります。

例えば東証一部・二部やマザーズといった一般的な株式市場では、上場する際の形式的な基準として以下のようなものが要求されるのが通例です。

  • 株主数
  • 企業としての純資産
  • 企業の時価総額


こういった用件が細かく設定されており、条件も定められています。

例えば、良く耳にするマザーズでは、上場する際の形式的な基準として時価総額は10億円以上で株主数は200人以上といった条件が定められているのが特徴です。

一方でTOKYO PRO Market市場においては、 こういった醸造する際の形式的な基準が定められていません。

企業として新しく株式市場に参入する際に大きくたちが歯がかかるのがこの形式的な基準ですが、TOKYO PRO Market市場にはこれが定められていないため、上場するためのハードルが著しく下がっているのも大きなメリットといえるでしょう。

メリット 3.維持コストが安い


東証一部・二部やマザーズといった代表的な株式市場で上昇すると、以下のようなコストが上場後に必要とされます。

  • 監査法人に対する監査報酬
  • 開示書類作成関連費用
  • 株式事務代行手数料
  •  IR 関連費用
  •  株主対策費用
  • 上場手数料


東証一部や二部、マザーズといった一般的な株式市場で上昇すると、年間4回決算を行い、四半期報告書を作成して株主に対し情報開示を行う必要があります。

こういった情報開示のためには、上記のようなコストがかかるといわれており、全ての経費を合算するとおよそ年間で5000万円近く必要な場合もあるのです。

もっともTOKYO PRO Market市場では、こういったコストはさほどかかりません。

なぜならTOKYO PRO Market市場は、 四半期の情報開示が任意となっており、内部統制報告制度なども上記の株式市場とは異なり任意なので、コストがかからないからです。

メリット 4.上場という社会的信用性を得ることができる


企業として、株式市場に上場しているということはそれだけで大きなメリットがあります。

上場していない企業と、あまり知られていない株式市場でも上場している企業では、社会的な信用性が大きく変わってくるからです。

上記でも紹介してきたように、TOKYO PRO Market市場は迅速に手続きを進めることができ、形式的な基準も必要とされず、コストも削減することができます。

そのため企業として「上場」というブランドを獲得することができるので、様々な良い影響を望むことができるでしょう。

TOKYO PRO Market市場のデメリット


TOKYO PRO Market市場は大きなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

デメリット1.プロ投資家だけという環境でお金の流動性が低い


上記でも簡単に触れましたが、TOKYO PRO Market市場はプロ投資家だけが参入できる市場になります。

株式の売買をすることができるのがプロ投資家のみになっているため、お金の流動性が著しく低いというのも事実です。

例えば、東証一部や二部といった代表的な株式市場の場合、プロ投資家のみならず一般投資家の方々も投資に参加することができます。

そのためTOKYO PRO Market市場の取引市場金額は、他の株式市場と比較しても小さく、プロ投資家しか存在していないため、市場でのお金の流動性にはほとんど期待することができないでしょう。

 

デメリット2.資金調達が困難


プロ投資家だけという環境のためお金の流動性が著しく低いのが、TOKYO PRO Market市場のデメリットだということをここまで紹介しました。

一般的な株式市場においては、上場するまで企業の株を経営者など一部の人が保有しているのがほとんどになります。

上場する際に、こういった保有している株を売り出したり新株発行をしたりすることによって、会社は資金調達をすることが可能です。

しかし お金の流動性が低いTOKYO PRO Market市場では、上場の際に株式の売出しを行ったとしても資金調達をすることが困難な場合があります。

参照 日本取引所グループ  TOKYO PRO Markeの概要についてURL:https://www.jpx.co.jp/equities/products/tpm/listing/tvdivq0000007z5r-att/tpm_01.pdf

 

TOKYO PRO Market市場の新市場への区分変更


現在東京証券取引所は、以下の4つの市場で構成されています。

東証一部
東証二部
マザーズ
 JASDAQ

しかしこの4つの市場が、2022年の4月から3つの市場に区分けされることが発表されました。以下がその3つの区分になっています。

プライム市場
スタンダード市場
グロース市場

東証一部は「プライム市場」、二部とジャスダック(スタンダード)は「スタンダード市場」、そしてマザーズとジャスダック(グロース)は「グロース市場」と区分けされます。

 

区分けによるTOKYO PRO Market市場への影響


TOKYO PRO Market市場は、2022年の区分変更には含まれていません。

しかしこの区分けによってTOKYO PRO Market市場に、より大きな注目が集まることが予測されます。

なぜなら今回の区分けによって、上場基準と上場廃止基準が統一されることにより、上場が従来よりも難しくなることが予測されるからです。

そのためマザーズなどに上場を目指していた企業が、区分変更を考慮してTOKYO PRO Market市場に上場することを目指す可能性が高まっています。

例えば2020年5月25日に上場をした「C Channel株式会社」もその中の一つです。

区分が変更されることによって上場廃止基準が統一されたので、現在上場中の企業の中でも上場廃止になってしまう可能性があるところもあります。

そういった企業がTOKYO PRO Market市場へと移行して来る可能性は十分あり、今後も市場の動きに注目です。

 

TOKYO PRO Market市場からマザーズ・ジャスダックへとステップアップも可能


tokyo-pro-market_3
TOKYO PRO Market市場に上場してから、急激に成長を果たすことによって、マザーズや Jジャスダックへとステップアップした企業も多くあります。

例えば、保育に関する事業を行っている「グローバルブリッジホールディングス」や、歯科医院・医療機関へ向けたデンタルケア製品を開発販売している「歯愛メディカル」などが代表的な例です。

関連記事:【ニッソウ、global bridge HOLDINGS、歯愛メディカル】 TOKYO PRO Marketから他市場へ鞍替えした企業の決算を分析!

 

まとめ TOKYO PRO Market市場は老舗企業の上場・成長の鍵を握る


今回紹介してきたように、TOKYO PRO Market市場は他の市場と比べても上場が容易であり、上場後のコストもかからないのが特徴です。

他の市場では厳格な基準によって上昇することができない企業であっても、TOKYO PRO Market市場であれば迅速かつ容易に上場することができる可能性があります。

老舗企業で、他の株式市場では頂上することができなかったところでも、TOKYO PRO Market市場を利用することによって上場し飛躍的な成長をすることも可能でしょう。

このようにTOKYO PRO Market市場は、今後の日本経済を成長させる鍵を握っている重要な市場といえます。

老舗企業で上場を考えている経営者の方は、TOKYO PRO Market市場を利用してみるのも一つの手かもしれません。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でファミリービジネスオンラインをフォローしよう!

Copyright © 2020 family business online . All rights reserved.

Copyright © 2020 family business online .All rights reserved.