ファミリービジネスにおいて後継者がイノベーションを起こす為に選ぶべき修行先とは?

日本は世界から見ても、ファミリービジネスが多い国です。
日本において「老舗」と呼ばれる企業は9割になります。

老舗のほとんどが、中小企業でありファミリービジネスなのです。
今後の日本経済の更なる発展には、ファミリービジネスの存続が重要なカギとなります。

とはいえ、ファミリービジネスが「時代の急速な変化に遅れを取っている部分が少なからずある」という点は受け入れなければなりません。

古来から「温故知新」という言葉があるように、先代から続く素晴らしい伝統をしっかり守り、これからの時代の変化に合わせてイノベーションを起こしていく必要があります。

そこで重要になってくるのが後継者の存在です。
先代の残してきた功績や敷かれたレールの上に安穏とするのではなく。

後継者がイノベーションを起こし、時代に寄り添った経営・価値を提供をしていく事がこれからのファミリービジネスに不可欠だと思います。

そのために後継者は「外の飯を食べてくる」
つまりは、一度外の会社で働く「修行」をしてくる必要があります。

では、後継者はどのような修行先を選ぶべきなのか?
どのような修行先に送り出せば、将来会社に新しい風を吹き込み「イノベーション」を起こす事ができるのか?

実際にファミリービジネスに携わってきた、筆者の視点からお伝えしたいと思います。

 

先代の知り合い・息のかかっていない会社を選ぶべき

 

全てはここに集約されていると思います。
ファミリービジネスの後継者は、従来の社会人生活とは根本的に違った歩み方をします。

その歩みを間違うと

・傲慢なワンマン経営
・勉強せず、時代の変化に取り残される
・従業員がついてこない、ブラック企業化

このようになることを防ぐために具体的な3つの理由をお伝えしたいと思います。

就活の苦労を味わうことで、社会人としての自覚と労働意欲を得られる。

後継者の修行が決まると必ず先代の知り合いの会社への口添えがあります。

「うちのをどうか、そちらで面倒みて貰えないでしょうか?」
よほどのことがない限り断られることはありません。
その結果、すんなり修行先が決まります。

一般的には多くの人が、思い通りにいかない就職活動を乗り越えて社会人となります。
苦労したからこそ、採用してもらえた喜びを感じます。
そして、しっかり働いていこうという気持ちになります。

この工程を踏まない後継者は仕事への取り組み意欲がスタート地点から根本的に違うのです。
イノベーションを起こす以前の問題です。

基本的な仕事を学ばずして、イノベーションはありえません。

周りからお客様扱いされることを防げる

先代の口添えで入社すると、どうしてもお客様感覚で扱われることが多くなります。
叱ってもらえる機会が減ってしまうことや後継者自身もどこか甘えが生じてしまい、業務に受動的になってしまいます。

それを防ぐには、自らの力で採用を獲得した会社で平等に当たり前の新入社員として扱ってもらうことが一番です。
そうすることで、

・甘えを取り除くことができる
・社員としての気持ちが分かるようになる
・違う会社を見ることで、将来受け継ぐ会社の問題点・改善点が見えてくる

というメリットがあります。

新規開拓に繋がる

 

ファミリービジネスでは、どうしても閉鎖的でクローズドな人間関係になりがちです。
新規開拓が難しいという弱点があります。

それは先代からの付き合いがメインの取引企業であり、お互い「持ちつ持たれず」な関係が多いからです。

お互いの先代、会社が存命の間はそれでもいいかもしれません。
しかし、先代の顔のおかげで成り立つビジネスモデルは持続可能とはいえません。

どこかで、新規開拓しなければ会社の存続に関わります。

自らの力で就職した会社なら、先代が持っていない。
自社では決して獲得することのできない人間関係を構築することができます。

外で知り合った人間との関係が、自社の仕事に繋がるという事はよくある話です。
先代が築いてきたように、後継者である自分だから仕事を任せたいと言ってもらえるのです。

多くの人と知り合い、そこからビジネスにつなげていく選択肢を得るためにも。
自社以外で知り合ったご縁を大事に勤務に励みたいですね。

自社にはない価値観、視点を得ることができる。

イノベーションを起こすという事は、従来のやり方ではなく、革新的な新しい方法、視点でビジネスに取り組むことが必要です。

ですが、自社に籠っていると、

・自社でしか通用しないルール
・ニッチなスキル

だけに長けてしまいます。

世間一般的に通用するスキルが獲得しにくいデメリットがあります。

ですから、後継者がイノベーションを起こす為に一番大切なことは自社に無い事を見て、取り入れていくことです。

自らの力で採用を勝ち取った会社で、必死に働き気づきや学びを得る。

そして、それらを持ち帰り自社で取り入れ、実際に行っていく。
それこそがイノベーションなのです。
従来の会社では、一会社員の提案を社長が聞き入れることは、まずありません。

ですが、ファミリービジネスは違います。

ファミリービジネスのメリットとして、風通しの良さがあります。
後継者の意見は、直接社長の耳に届きます。

新たな技術、ビジネスモデルを直接社長に通すことができる。
ファミリービジネスはフットワークの軽さが強みとなります。
その強みを最大限に生かす為にも。

後継者は自社にはない、価値観や視点を持ち帰り
積極的に提案するべきなのです。

 

後継者こそ新しいことにチャレンジし、率先して苦労していかなければならない。

 

世の中は目にも止まらぬ速さで技術改革が起きています。
IOT化やAIの時代がすぐそこまで来ています。

ファミリービジネスは、今まさに大きな岐路に立たされています。
昔ながらのやり方も大切ですが、そのままのやり方では残念ながら衰退していってしまうと感じています。

ですから、そこに時代の流れを取り入れた新たな舵取りが必要になってきます。
その一翼を担うことができるのが「後継者」です。

先代の敷かれたレールに甘んじているだけでは、今まで築きあげてきた素晴らしい自社の伝統の火を消してしまいかねません。
自社では得られない事、誰もやっていないことを自ら能動的に獲得していく事が後継者の使命。

それこそが正に「修行」なのです。
今はインターネットの技術革新が盛んです。

先代と呼ばれる方々は、どうしても疎い部分があると思います。
生まれたときからインターネットが当たり前に存在してる世代を「デジタルネイティブ」と呼びます。

これからの後継者は、まさにデジタルネイティブ世代。
イノベーションを起こすツールはすでに持っているのです。
あとはそれを使いこなして、イノベーションを起こせるかどうかは後継者本人の人生経験にかかっていると言っても他なりません。

テクノポップでお経を唱えるお寺。
インターネットで手相を見る占い師。
youtubeで配信するヨガインストラクター。

イノベーションによってどんどん面白い事がなっていく世の中です。

ファミリービジネスが、より多くの面白さや価値観を。
今の世の中、そしてこれから訪れる未来に提供できる。

その新たなビジネスモデルを提供できる可能性の一翼を担うのが後継者なのです。

家族のもとで安穏とせず、修行という形で一歩外に飛び出し、多くの失敗や挫折を経験し、気づきや学びを得ていただきたいと思います。

そして、後継者自身が新たな風そのものとなってほしいと願っています。

 

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