日本の企業は創業年数が100年以上も超える老舗企業が多いと言われています。
実際に世界の創業100年以上を誇っている企業の中で、その半数近くが日本企業であると言われており、創業200年以上の企業に至っては65%以上が日本企業です。
世界で最も百年企業が多いのは日本の3万7076社がトップであり、2位アメリカの約2倍近くもあるというのはご存知でしょうか。
このように日本には、長い歴史を誇る老舗企業が様々な業界に数多くあるのが特徴です。
しかし古くから日本の経済を支え発展に貢献してきたにもかかわらず、あまり知られていない老舗企業も多くあります。
そこで本記事は数回にわたり、地域別老舗企業TOP10と題して、 様々な地域の設立の古い老舗企業に関して紹介しています。
今回は愛媛の老舗企業について紹介。
四国の1県である愛媛はどのような老舗企業があるのでしょうか。
愛媛県の老舗企業として1番歴史が古いのが伊予銀行です。
伊予銀行のルーツは1878年に設立された第二十九銀行から始まります。
明治維新にて文明開化の動きが日本中で起きると、西洋のシステムに習って、日本各地に銀行を設立する動きが加速化しました。
第二十九銀行もそのなかの1つであり、愛媛県の最初の銀行としてされた銀行であり、四国では高知県に続いて2つ目の銀行になります。
その後、私立銀行が日本の中で乱立して、統廃合を繰り返しながら1941年に伊予銀行として設立されました。
現在では、日本の銀行の中でも珍しく歴代の頭取は生え抜きから選ばれており、財務省や日本銀行からの「天下り」採用がないところとしても知られています。
銀行の設備なども他行とは独自の規格を採用しており、今後統合する予定は無く、地元密着型の銀行だということができるでしょう。
独自の路線をいくところは、銀行としての動きにもあらわれており、全国の地銀ではトップの「広域店舗網」を展開しています。
メガバンクなどに押されがちな地方銀行ですが、他県にも積極的に店舗網を広げているのが伊予銀行の大きな特徴であり、少子高齢化などによる過疎化が地方を襲う中で、地域の取引を支えることを掲げているのが伊予銀行の魅力でもあります。
愛媛の老舗企業の第2位は愛媛銀行です。
愛媛銀行は、元々無尽会社5社が集まって設立された銀行であり、1915年の創業されました。
無尽会社とは、参加している人全員がお金を積み立てていき、そのお金を受け取るという「相互扶助」のもとに成り立っている会社であり、愛媛銀行もこの精神を引き継いで銀行を運営しています。
そのため地方銀行中でも特に地域密着の色が強く、時代に合わせた運営を行ないながらも、地域のお客様を大事にしており、そのニーズをしっかりと満たしているのも大きな特徴です。
また愛媛銀行は、創業当初から四国という土地柄もあり、海運業との結びつきが非常に強いことも知られています。
そのため地域の人々はもちろんのこと、愛媛に根付いた海運関係の法人とも強固な結びつきがあり、地方銀行として地元の経済になくてはならないということができるでしょう。
愛媛県の老舗企業として、3番目に古い企業が三浦工業です。
三浦工業は、1927年に精麦・精米機の製造・販売を目的とする三浦製作所として創業されました。
その後は小型のボイラー製造を主とする企業として成長していき、現在では小型貫流式蒸気ボイラーのシェアで日本国内トップを誇っているのが最大の特徴です。
小型ボイラーの製造だけではなく、水処理機器や蒸気による滅菌機器、食品加工機器などさまざまな分野に進出しており、小型ボイラーには及びませんが高いシェアを誇っています。
日本では早い段階から、ボイラーなどのオンラインメンテナンスを導入しており、製造だけではなく保守・点検なども一手に引き受けているのも大きな強みといえるでしょう。
オンラインメンテナンスによるボイラー管理は、日本だけではなく世界中にて利用されており、60,000台近くのライセンス契約を有しています。
製造から保守・点検まで可能な仕組みを作ることによって、三浦工業は安定的な成長を可能にしました。
アイエン工業株式会社は、 1956年に設立された愛媛県今治市を中心とする建設会社です。
港湾岸工事を中心としている総合建設業者として、愛媛県だけではなく香川などを含めた瀬戸内海沿岸の建設事業を行なっています。
瀬戸内海を悩ませる高波などを防ぐための、港の高潮対策や防波堤ブロックの制作など、四国の人々が安全に暮らすには必要不可欠な事業を行っいるのが特徴です。
他にも港の改修工事や建設工事なども行なっており、瀬戸内海湾岸部で漁を日々行えるようにサポートしているのもアイエン工業株式会社の主な事業の一つと言えるでしょう。
愛媛県の老舗企業として5番目に古い企業は、株式会社ヨンキュウです。
ヨンキュウは1963年に設立された水産会社であり、瀬戸内海を中心としている四国や九州の養殖業者に対して、飼料や餌料・稚魚を販売、その後に育った養殖の魚を買い取り全へと出荷する「海産物の総合商社」ともいえる事業を行なっています。
近年では海産物資源が、乱獲により獲れなくなってきていると世界中で問題視されている状況です。
日本でも漁によって獲れる海産物は、年々少なくなってきているのが現状であり、漁の近代化などで補っていますが、そこまで大きな効果をみせていません。
そのため今後は、これまで以上に海産物の養殖を成功させることが、日本だけではなく世界中での命題になってきます。
ヨンキュウでは養殖を安定的に成功させるための飼料などを販売しており、日本の海洋産業を裏から支えているということができるでしょう。
仮に今後も海産物の収穫が減少の一途をたどるのであれば、それに比例して成長していく可能性を秘めています。
実際「連続増益企業ランキング」で、第47位にランクインしており、今後もより成長していくかもしれません。
株式会社フジは、愛媛県を中心に四国や山口県に出店しているスーパーマーケットチェーンです。
1967年に設立されてから、四国の人々の生活を支え続けており、現在では数少ない地方スーパーチェーンになります。
近年では、地方のスーパーマーケットは、ドラッグストアの値下げ攻勢やイオンなどの大型スーパーの出店により苦境にたたされているのが現状です。
そんな中で、株式会社フジは訪れた顧客の購買データなどを明確に分析するなど、他の地方スーパーマーケットよりも積極的にDXを進めているのが印象的になります。
今後地方スーパーマーケットの1つとして、大手スーパーやドラッグストアなどに負けず、企業として成長することができるのか注目です。
ダイコー通産は愛媛県松山市を中心として、卸売業を行なっている企業になります。
1975年に設立されてから、電話用電線の卸販売からはじまり、現在では国内外の電線・ケーブルや通信機械器具、金属製品などをメーカーから仕入れ、通信工事施工・電気通信事業者、電力会社の通信・配電部門、官公庁などに販売を行なっています。
日本でケーブルテレビが普及し始めた時から、徐々に西日本を中心に販売を伸ばしていき、現在ではインターネット関連の機器や情報通信関連の商材を扱うまでになっているなど、成長著しい企業のうちの1つです。
需要増大が著しい携帯電話の基地局に使われる資機材やケーブル販売なども行なっており、事業基盤はかなりしっかりとしています。
2019年では東証2部に上場を果たしており、今後は東日本・首都圏に事業拡大をはかっています。
株式会社ありがとうサービスは2000年に設立された、愛媛の今治市を中心にしている企業です。
リサイクルショップと飲食店の経営などを中心に、愛媛県で120店舗を展開している地域密着型企業になります。
事業の柱となっているリサイクル・リユース部門は、今後海外進出が控えており、四国だけではなく海外を視野に入れたグローバルな面も持ち合わせているのが特徴です。
もう一つの事業の柱である飲食店経営においても、瀬戸内海の特産物をいかした様々な店を有しており、観光で訪れた人々を楽しませる役割を担うなど、地方の活性化の役割も果たしています。
今治市や西条市などと提携しながら、浴室施設などの運営も行なっており、地方創生事業の一端も担っている地方密着型がありがとうサービスの大きな特徴であり強みです。
ベルグアース株式会社は、愛媛県にある野菜苗などの製造販売を行っている企業です。
2001年に設立されてから野菜苗の製造販売を始め、培った技術を活かして農業分野にも参入しており、農作物の栽培・販売なども行なっています。
接木苗では年間2500万本近く生産しており、国内トップの生産量を誇っているのも特徴です。
国内トップクラスの閉鎖型育苗施設を活用して、 高品質な苗の開発や、生産技術を活かしたオーダーメイド注文への対応なども行っています。
個人の農家では行うことができない、最新技術を導入した農業の効率的な運営を行っており、情報システムで生産管理などを行っているのも印象的です。
年々日本では農業に従事する若者が少なくなっていますが、ベルグアースでは若者が農業で夢を語ることができることを目指して様々な取り組みを行っています。
野菜を育てる生産者からスーパーで働く人々まで、農業生産に関わっている全ての人々の改善点や問題点を解決するために、日々企業努力を積み重ねている意欲的な会社ということができるでしょう。
株式会社ダイキアクシスは2005年に設立された、浄化槽などの排水処理装置を取り扱う企業です。
元々はDCM ダイキ株式会社が、ホームセンター事業へ企業として特化することが決まったため、創業から取り扱っていた環境機器や住宅設備に関する事業を継承するために設立されました。
・排水処理に関する装置の設計や施工・維持管理など
・合成樹脂などによる製品の製造販売や設計など
・建設に関する材料や住宅設備機器の販売・施工など
・植物系廃食用油を原料とするバイオディーゼル燃料の精製や販売など
・飲料水の製造販売など
・精製プラントの販売など
こういった事業を行っており、特に中核となる排水処理に関する事業では、インドネシアの関連会社が有している最新瀬設備を備えた工場で、排水処理装置の製造なども行っています。
近年では環境に対する関心が高まっており、ダイキアクシスでも企業全体として、排水処理によって新しい水文化の創造を試みています。
環境に優しい浄化槽や排水処理設備の製作を進めており、企業として美しい水を後世に残したいという姿勢が、実際の事業内容などにも大きく表れているのが特徴です。
今回は地域別老舗企業として愛媛に関して詳しく解説してきました。
他の都道府県と比べても、地域に根付いている企業が多く見受けられるのが、愛媛の老舗企業の特徴です。
今回は愛媛県の老舗企業について詳しく紹介してきましたが、別の記事では他の地区に関しても詳しく解説しているので、そちらも併せて参考にしてください。