経営者におすすめの書籍『ワークマン式「しない」経営』

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コロナ禍で多くの会社の経営が悪化した2020年。
その年に逆に、営業利益を40%以上伸ばした会社があることをご存知でしょうか?

その会社とは、30年以上プロ向け作業服専門店のトップに君臨してきた「ワークマン」です。

この記事では『ワークマン式「しない」経営』の内容について、解説していきます。
ワークマンの「しない経営」から、あなたの会社の戦略や新たな企業風土を生み出すためのヒントを得られるかもしれません。

 

『ワークマン式「しない」経営』とはどんな本なのか?


まずは『ワークマン式「しない」経営』に描かれた「ワークマン」という会社や、本の著者について
紹介します。

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画像引用:wikipedia

ユニクロを抜いたワークマン


「ワークマン」は、職人などのプロ向けの作業服専門店として創業しました。
しかし、今のワークマンは新たな業態「ワークマンプラス」により、10期連続最高益を更新し続けています。

2020年3月期、ワークマンとワークマンプラスを合わせた全店の売り上げは1220億円(前年同期比31.2%増)に達しました。また、営業利益は192億円(同41.7%増)、経常利益207億円(同40%増)、純利益134億円(同36.3%増)。

さらに、店舗数も伸び続けており、2020年9月末でユニクロの国内店舗数を抜き去っています。
今、最も注目を集める急成長企業が「ワークマン」なのです。

急成長の仕掛け人が語る経営戦略


『ワークマン式「しない」経営』の著者は、ワークマンの専務・土屋哲雄氏です。

土屋氏は東大の経済学部を卒業後、三井物産に入社しました。
30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社。「看板と社名以外は全部変える」つもりで、企業風土の改革に取り組みました。

土屋氏がどのようにしてワークマンの業績を押し上げたのか。

その秘密は、ブルーオーシャン市場の発掘による客層の拡大。
そして、それを支える「しない経営」と「エクセル経営」の両輪です。

ブルーオーシャン市場の発掘方法



ユニクロの柳井正氏に「新しい市場を作った」と言わしめた、ワークマン。
飽和するアパレル市場の中で、どのようにブルーオーシャン市場を見つけたのでしょうか?

作業服の会社としての業績は頭打ち


2012年の時点で、すでにワークマンはプロ向けの作業服の会社として、トップを走る会社でした。
しかし、社長は売り上げに限界を感じており、企業文化にも閉塞感が立ち込めていました。

土屋氏は業績を上げるために、プロから一般客に客層を広げることを考えました。
しかし、一般客のアパレル市場にはライバルがすでにたくさんおり、市場は飽和状態。

そこで土屋氏はワークマンの強みから、ブルーオーシャン市場(ライバルがいない、あるいは少ない市場)を開拓することを考えたのです。

機能性✖️低価格というブルーオーシャン


ワークマンの強みは、プロ向けの商品故の高い機能性と、低価格にありました。

高い機能性をうたったアウトドアブランドは高価格。
また、同じ低価格でもユニクロは機能性よりもデザイン性重視のブランドです。
「機能性✖️低価格」という市場は、ワークマンが持つ強みを活かしつつライバルがいない、ブルーオーシャン市場となっていたのです。

この市場を狙った一般客向けのアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」は大ヒット。土屋氏は「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞を受賞しました。
さらに、2020年10月には次世代店舗「#ワークマン女子」がオープン。
開店初日には3時間もの入店待ちの行列ができる盛況ぶりでした。

しかし、経営陣の戦略だけでは、ワークマンの急成長はありませんでした。
「ワークマンプラス」のヒットの裏には「しない経営」と「エクセル経営」の存在があったのです。

急成長を支えた「しない経営」


元々ワークマンには「しない経営」がありました。
土屋氏はそれをさらに進化させた「もっとしない経営」について、本書で紹介しています。

社員のストレスになることはしない


「しない経営」の1つ目は、「社員のストレスになることはしない」です。
これには「残業しない」「仕事の期限を設けない」「ノルマと短期目標を設定しない」などが含まれます。

しかし「期限もノルマがなければ、社員はさぼるばかりなのではないか?」と経営者の方は疑問に思うかもしれません。

土屋氏は「不思議なことに『いつでもいいですよ』『時間がかかってもやってくださいね』といって仕事を任せたケースで、想定以上に時間がかかったことはほとんどない」と語っています。

そして逆に、「ルールで縛ることは、社員のやる気を削ぐ」と経営者に警告しているのです。

ワークマンらしくないことはしない


2つ目は「ワークマンらしくないことはしない」です。

例えば、ワークマンでは、値引きも対面販売も行っていません。

ワークマンのモットーは「毎日が低価格」。
来店する客はほとんどが常連客で、買う商品も決まっていることがほとんどです。
来店する客は商品の位置も把握しているため、接客は無駄でしかありません。

また、ワークマンは顧客管理も行っていません。
多くの小売業では顧客管理のために、会員向けのポイントカードを発行しています。
しかし、会員カードはポイント還元などによって、元々少ない利益をさらに少なくする原因です。
個人情報漏洩の対策もしなければならないので、社員の負担が大きくなるばかり。

ワークマンではそれよりも、良い製品を生み出し、「名前のない」お客様に売ることを目標に据えています。

価値を生まない無駄なことはしない


「しない経営」の3つ目は「価値を生まない無駄なことはしない」です。つまり、付加価値を生まない時間はどんどん削っていくということです。

例えば、土屋氏は「幹部が思いつきで何かを始めることほど、会社にとってマイナスなことはない。
社員はやらなくてもいい仕事に時間をとられて迷惑だ」と語っています。

優秀な経営者や幹部ほど、ニュースやトレンドに敏感です。しかし、思いついたアイデアを周囲に話せば、部下たちはそれらのアイデアに振り回されて、目の前の仕事の生産性が落ちてしまいます。

経営幹部は極力出社せず、現場に足を運ぶべき、というのが土屋氏の主張です。
ワークマンでは社長が会社にいるのは週1回、専務の土屋氏でも週2回のみ。
社長の週1回の出社時に稟議が行われますが、これも立って行うことで効率化を図っています。

自分の頭で考える社員を生み出す「エクセル経営」


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ブルーオーシャン市場進出を支える両輪の2つ目は「エクセル経営」です。
元々はデータ活用を全く行なっていなかったワークマンを、土屋氏がどのように変えていったのか?について、解説します。

エクセルを活用した経営方法


ワークマンではデータ分析にエクセルを用いています。例えば、「ワークマンプラス」の品揃えの決定方法もエクセル経営の手法に基づいたものです。

ワークマンで販売していた1700アイテムの中から、一般客にも購入されていた製品をエクセルを用いて抽出。選ばれた320アイテムを「ワークマンプラス」で見せ方だけ変えて販売することで、急激に売り上げを伸ばしたのです。
ワークマンプラスのためには、製品開発を一切行なっていないというから驚きですね。

また「しない経営」でワークマンは顧客管理をしない、と解説しました。
ワークマンでは、顧客管理を行う代わりに、店舗面積やレイアウト、製品の品揃え、価格を標準化した店舗で、簡単なアンケート調査を実施して、データを集めています。

アンケートのデータの精度を高めるのに必要なのが「値引きしない」という経営方針です。
値引きして販売した商品は製品力で売れたのか?値引きしたから売れたのか?が分からなくなってしまいます。

値引きをしないことで、顧客管理をしなくても的確なデータが取れてエクセル経営ができる。
逆にエクセル経営をすることで、無駄なことをする必要がなくなり、しない経営を続けられる。
「エクセル経営」と「しない経営」はワークマンにとって、どちらも欠くことのできない両輪なのです。

存在感のない社員が会社のリーダーになる


ワークマンは元々、店舗在庫の数量データすらないような会社でした。
土屋氏は2012年の入社以降の8年間、コツコツとデータ活用研修を行い続けました。
その結果「継続は力なり」の言葉通り、社員のデータを活用するスキルは年々高まっています。

ただ、データ解析と言えば、高度なAIソフトやデータサイエンティストがあるじゃないか、と思われる経営者の方もいるかもしれません。

しかし、土屋氏は普段誰もが使っているエクセルを使うことこそが、社員のやる気を引き出す仕組みを作っていると語ります。
「エクセル経営」で用いられるエクセルは、マクロやVBAもほとんど必要はありません。

AIはこの年代の男性にこれが売れている、という因果関係を分析するのは得意です。
なぜ売れているかという理由はわかりません。
特に、ワークマンは取り扱っている製品が多いため、草の根レベルの分析が必要です。

その分析を行なっているのが、現場にいる一人ひとりの社員です。
エクセル経営を用いることで、社員全員が経営に参画する。

この「エクセル経営」によって自信のなかった人や存在感のなかった人、店長に信頼されていなかった人が、会社の中でトップクラスの人材に成長しました。
会社のお荷物と思われていた人たちが、会社を引っ張るリーダーになっているのです。

まとめ


この記事では、『ワークマン式「しない」経営』について紹介しました。

「しない経営」により生まれた「社員よし」「加盟店よし」「取引先よし」「会社よし」の”四方よしの経営がワークマンの成長を支える柱となっています。

この本で紹介されている方法は、決して特別なものではありません。あらゆる企業で実施することができる、と著者のワークマン専務・土屋氏は語っています。

ワークマンの「しない経営」について、さらに詳しく知りたい場合は、ぜひこの本を読んで頂くことをおすすめします。

出典:土屋哲雄 (著)(2020)『ワークマン式「しない」経営』ダイヤモンド社

 

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