「選択と集中」が招く思わぬ落とし穴!事業環境の変化にリスクヘッジできていますか?

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日本企業の中でも老舗企業によく見られる特徴として、目先の利益だけを得ることに集中することを選択してしまい、1つのサービスや商品に頼り切ってしまうということがあります。

経営において「選択と集中」を行うことは、効率的に業績アップや経営効率を図ることができる手法としてよく知られていますが、日本の特に老舗企業では、余りにも偏りすぎているといえる企業も多いのではないでしょうか。

経営手法の1つとして「選択と集中」を採用することは、企業の経営戦略としても正しいことですが、これの実に頼り切って経営を行ってしまうとかなりリスクが高くなってしまいます。

特に新型コロナウイルスなどの、予想もつかない世界規模の有事の際には大きな打撃を受けてしまう可能性も少なくないでしょう。

そこで今回は企業が経営戦略として行う「選択と集中」がどのくらいリスクを有しているのか解説していきます。

 

そもそも選択と集中とは



選択と集中とは、企業が自社の強みをどこにあるのか見極め、そこで競合他社と競り勝つために経営資源をまとめて投入することによって、業績アップや経営の効率化を狙う手法のことを指します。

どのような企業であっても、経営資源には限度があるので、使うことのできる資源を全て自社の強みに透過することによって、市場において競合他社と差別化して勝つことを狙う必要があるためです。

つまり「本業以外に様々なビジネスを行ってきた企業が、本業に集中する」ことを意味しており、多角化経営の反対の概念といえるでしょう。

選択と集中を行うことによって、多角化してきた経営を一本化することができるので、企業として大規模な余剰人員の整理と解雇を行うことも必要になります。

 

選択と集中は間違って伝わった?


この選択と集中という概念は、「マネジメント」で有名なドラッカーから助言を受けたジャック・ウェルチから伝わりました。

もっとも実はウェルチが伝えようとしていた言葉は「focus(焦点を当てる)」 というものであり、経営の多角化を否定するものではなく間違って伝わったのではないかとも指摘されています。

本来経営者はリスクを取ってチャレンジしなければいけないはずが、「選択と集中」という言葉によって、安全な事業にリソースを集中投下することの言い訳にもなってしまっているのが現状です。

 

選択と集中を経営戦略に取り入れることによる大きな3つのデメリット


選択と集中は確かに限られた経営資源を、勝つことのできる事業に投入することによって、効果的に業績アップや経営の効率化を図ることができます。

しかし一方で大きなデメリットもあるのが事実なので、以下でそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

人員整理による優秀な人材の流出


選択と集中を経営戦略に取り入れる事によって、勝つことのできる事業以外は整理することになります。

そのためそれぞれの事業の部署で働いていた従業員たちを、ある程度人員整理する必要が企業として出てきてしまうでしょう。

人員整理を行う際に、今まで働いていた優秀な人材がいなくなってしまう可能性があります。

また優秀な人材を資源を集中する事業へと移動させた場合でも、業務に慣れることができず本来の力を発揮出来ることなくやめてしまう可能性もあるのです。

そのため選択と集中に基づいた人員整理は、優秀な人材の流出が起こりかねないという面では大きなデメリットといえます。

 

社内外からの反発


選択と集中による特定事業への資源の集中投下は、人員整理と再配置を求められることになります。

突然の人員整理や再配置は、 今まで携わってきた業務から移動させられる従業員の反発を招く恐れが考えられるでしょう。

また多角的経営を行っており、企業としてリスクマネジメントが取れている状況であるにも関わらず、特定事業に対する集中は、不安視する株主がいることも忘れてはいけません。

特に事業を集中させて、多角的経営ではなく1つや2つに特化したものになってしまうと、企業として弱みができてしまうので、株主から猛反発を食らう可能性もあります。

反対株主に対しては、納得してもらうように議論を行いながら、事業を進めていく必要があるでしょう。

 

社会情勢の対応が困難になる


選択と集中は特定事業へと偏ってしまうことになるので、リスクマネジメントの側面からは優れた経営戦略とはいえません。

特に新型コロナウイルスやリーマンショックといった社会情勢の大きな変化や、事業に大きな変革が訪れてしまった場合などの変化への対応が難しくなってしまいます。

特に事業に関係することで、これまでのものとは一線を画する大きな変革が起きてしまった場合、企業として生き残ることができないほどのダメージを受けてしまう可能性があるでしょう。

このように集中と選択の経営戦略を採ることによって結果的に倒産してしまうリスクもあるのです。

そのため企業として短期的な利益を得るために、特定事業への集中的な資源の投下を行うことはできるだけ避けた方が良い戦略といえるでしょう。

 

選択と集中の経営戦略によって失敗してしまった企業の具体例

 



ここからは実際に目先の利益にとらわれて、選択と集中の経営戦略をとってしまったことにより失敗してしまった企業の具体的な事例を紹介していきます。

 

選択と集中の失敗例 1. SHARP


シャープは2000年代初頭から、液晶テレビに着目して優先的に開発に取り組むことを決定し、液晶部門へと集中的な資源の投資を行いました。

一時的には「液晶部門はシャープ」と業界で言われるほど、地位を確立して成功を収めたとも言えます。

しかしその後2008年に起きたリーマンショックという社会情勢の大きな変化や、他国の安価な液晶が流入してきたことにより熾烈な価格競争に巻き込まれてしまいました。

その結果シャープは収益は徐々に悪化していき、テレビの需要も年を追うごとに下がって行ってしまったため、巨額の資源を投下した液晶部門はあっという間にお荷物部門となってしまいます。

液晶部門という1つの分野へと集中して経営資源を投下してしまったことにより、 他の部門は全く成長することができず、結果としてシャープの独力による経営改善はできずに終わってしまいました。

 

選択と集中の失敗例 2.東芝


日本でも有名な企業である東芝も集中と選択に失敗してしまった企業の1つです。

東芝は半導体と原子力発電を経営の二本柱として掲げ、2つの事業に経営資源を集中することを決めました。

確かに半導体や原子力発電に関する事業は、1度当たりを出すことができれば大きなリターンを得ることができますが、一方で需要がない場合には会社そのものが傾きかねないハイリスクの事業でもあります。

結果的に東芝は半導体と原子力発電に選択と集中を行ったことは、大きな失敗に終わってしまいました。

半導体事業は、2008年のリーマンショックによって世界的な社会情勢が大きく変わってしまったため、需要は激減してしまい巨額の赤字を出してしまう結果に…。

また原子力発電に関する事業も、2011年3月11日に起きた福島第一原子力発電所の事故によって見通しが立たなくなってしまい、膨大な赤字を計上してしまう結果となってしまいました。

リーマンショックや大震災などの社会的情勢の大きな変化によって、シャープや東芝といった大企業が傾くほどの赤字を出してしまうことから、選択と集中の経営戦略がどれだけリスクを孕んでいるのかを実感することができるのではないでしょうか。

 

目先の選択と集中は大きなリスクを招く可能性も


企業の戦略を検討する上で、選択と集中という経営戦略は確かに効果的な場合もあります。

もっとも特定の事業に経営資源を一本化してしまうことにより、大規模な社会的情勢の変化やその事業での革新的な変化が起きた場合に、事業が傾きかねない程のダメージを被ってしまう可能性も否定できません。

経営資源を特定の授業に集中させるということは、大きなメリットとデメリットがあるので、単純な目先の利益にとらわれることなく長期的な視点で判断することが重要です。

現在の世界情勢や、その事業における大きな変化はないかなど事前に様々な面を確認することで、選択と集中の経営戦略を採用するか判断することができるでしょう。

もちろん検討した上で選択と集中ではなく、多角的経営を行うという判断をすることも経営者にとっては必要なものになります。

今おこなっている事業を多角化するのか、それとも選択と集中の経営戦略を取ることによって、特定の事業を飛躍的に成長をさせるのか、経営者として冷静に見抜くことができる判断力を身につけなければなりません。

 

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